株式の本質と役割

株式投資が初めての方や、始めたけれど内容が良くわからない方向けの
「株式投資の予備知識」のコンテンツ(1)「株式の本質と役割」となります。

今回は、株式投資で投資対象となる「株式」について、何のためにあるのか、
そしてどの様な役割を担っているのかについて、考えて行きたいと思います。

  株式の本質とは何か?

はじめに、「株式」とはそもそも何を指すのか、その本質について考えてみます。

株式の本質を探るため、先ずは株式の定義について確認してみます。

「ウィキペディア(Wikipedia)」では、株式について下記の通り定義しています。

株式とは、株式会社の構成員(社員株主)としての地位(社員権)のことである(通説)。
(出典:フリー百科事典 ウィキペディア/Wikipedia)

何やら、難しいことばが並んでいますね。
登場した「株式会社」「社員」「株主」「社員権」について、同様に定義を確認します。

 ①株式会社
  ・細分化された社員権(株式)を有する株主から有限責任の下に資金を調達して
   株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する、『法人格』を
   有する企業形態である。
   (出典:フリー百科事典 ウィキペディア/Wikipedia)

 ②社員
  ・以下の2つの意味がある。
  ・社団の構成員。会社の場合は出資者(株主)
  ・会社企業における従業員、特に狭義として正規雇用者である正社員の通俗的な呼称。
   法的な用語ではなく、公文書では使用されない。
   (出典:フリー百科事典 ウィキペディア/Wikipedia)

 ③株主
  ・株式会社の株式を保有する個人・法人をいう。
   (出典:フリー百科事典 ウィキペディア/Wikipedia)

 ④社員権
  ・何らかの社団について、その社員(構成員)の地位をいう。
   日本法においては、物権や債権、知的財産権とともに財産権を構成する。
  ・財産権は、財産的価値を有する権利の総称。
   (出典:フリー百科事典 ウィキペディア/Wikipedia)

・・・何やら、だいぶ広がってしまいました。

ここでシンプルに考えるために、さきほどの「株式」の定義の頭と尻尾を繋げてみます。

 ・株式とは、・・・ 社員権のことである(通説)。
           ↓
 ・社員権とは、・・・ 財産権を構成する。
 ・財産権は、財産的価値を有する権利の総称。
           ↓
 ・株式とは、財産的価値を有する権利。

多少語弊があるかもしれませんが、簡単に言うと「財産的な価値を持つ権利」なんですね。
株式は保有することで権利を持ち、その権利には財産的な価値があるということです。

上記の①~④を簡単にまとめると、下記の通りになります。

 ・株式を発行するのは、株式会社という法人格を有する企業である。
 ・個人、法人問わず、株式に出資すると株主になり、同時に社員となる。
 ・株式会社の株主(社員)は、財産的な価値を伴う権利を保有する。

社員というと一般的には、「○○会社の社員」という様に、特定の企業に勤める正社員を
指しますが、これは俗称であり法的な用語ではなく、公文書では使用されないのです。

法律の世界では、社員とは会社や団体の経営に一定の責任を有する構成員を差し、会社の
場合は出資者、さらに株式会社の場合は株主と同じ意味になるということですね。

次に、会社の種類と株式の関係について考えてみます。

街で見る看板や近所の商店、道を走る商用車などを見ると、「○○株式会社」の他にも、
「○○有限会社」などの表記もあります。

会社の種類は、どれくらいあるのでしょうか。

会社を設立する時の種類は、会社の設立や組織、運営、管理について定めた「会社法」に
より定められています。
 
現在設立可能な会社の形態と、その概要は下記の通りとなります。

 ①株式会社
  ・会社は株式を発行し、金銭を出資した者が保有します。
  ・出資者は経営者を選び、経営を任せます。
  ・設立時の資本金は、1円から可能です。
  ・経営に携わる取締役の任期は、2年です。
  ・会計監査を受けて定期的に株主総会を開催し、決算数字を公表する義務があります。
  ・出資者は、有限責任を負います。

 ②(特例)有限会社 ※2006年5月1日より設立不可
  ・会社は株式を発行し、金銭を出資した社員が保有します。
  ・経営に携わる取締役の任期に、制限はありません。
  ・社員全員が、有限責任を負います。
  ・2006年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社の設立は不可となりました。
   それ以前の有限会社は、「特例有限会社」に移行しています。

 ③持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)
  ・会社は、株式を発行しません。
  ・金銭を出資した社員だけで構成し、経営します。
  ・社員は、合同会社は有限責任を、合名会社と合資会社は無限責任を負います。
   但し、合資会社の経営に参加しない投資家は、有限責任を負います。

出資」とは、会社に資金を提供して株式や持分等の地位を取得することを指します。
社員」とは、先程と同様に会社の従業員という意味ではなく出資者という意味です。
有限責任」とは、出資した金額の範囲内で債務責任を負うことを指します。

同様に「無限責任」とは、債務責任を無制限に負うことを指しています。
何だか「保証人」と同様、恐ろしい響きですね。

合名会社は全員が、合資会社は経営に参加しない投資家以外の全員が無限責任を負うため
その設立割合は、あまり高くないのが現状です。

会社の種類と株式の関係についてまとめると、下記の通りになります。

 ・「株式」を発行するのは「株式会社」および、旧来の「有限会社」だけである。
 ・「有限会社」は2006年5月1日以降は設立出来ず、「株式会社」に統合された。

現在は、株式を発行するのは「株式会社」だけとなり、実に単純でわかりやすいですね。

最後に、これまでの結果から株式の本質について考えてみます。

さきほどは触れずに飛ばしましたが、株式の定義と会社の形態のそれぞれ「①株式会社」
に重要な記載があります。それは、ピンク色の部分です。

再掲してみましょう。
 ・株主から委任を受けた経営者が事業を行う。
 ・出資者は経営者を選び、経営を任せる。

これは、どういうことなのでしょうか。

会社の形態では、「③持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)」は株式を発行しない
(発行できない)ことになっています。

株式を発行せず、金銭を出資した社員だけで経営し外部の人はいないことになります。
(但し、合資会社だけは例外として、経営に参加しない出資も可能)

つまりこれらは、基本的に身内や仲間内だけで経営する、小規模な会社を想定しています。
必要な資金は自分たちで工面し、外部の人からの出資を受けない経営が対象となります。

一方で、その対角線上に位置するのが株式会社です。

株式会社の一番の特徴として、広く出資者を募り資金を提供してもらう点があります。
そして出資者は、資金は提供するが会社の経営には直接関与せず、経営者に委ねます。

端的に言うと、「このお金使って(良い意味で)自由に経営してね」です。
まさしく、サントリー創業者・鳥井信治郎氏の「やってみなはれ精神」ですね。

株主は、出資の範囲内で債務責任を負うにも係わらず、普段は経営に口を挟まないのです。
これが株式の本質であり、株式会社の経営がその他の会社とは決定的に違う点です。

株式の本質についてまとめると、下記の通りになります。

 ・「株式」に出資した社員(株主)は、出資した範囲内で債務責任を負う。
 ・「株式」に出資した社員(株主)は、会社の経営を経営者に任せる。

  株式の役割とは何か?

次に、株式会社が発行する株式には、どの様な役割があるのかを考えてみます。

株式の1つ目の役割は、出資者がどの程度の権利を有しているか、の管理です。

さきほどの「③持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)」は、株式を発行しません。
このため金銭を出資した社員は、その出資額に応じた持分割合となります。

つまり、出資した金銭の額という「貨幣の単位」でしかその持分割合を表すことができず、
その会社の尺度でこれを明確に表す、統一的な指標が存在しないということになります。

貨幣の価値は、それを発行する国の力やその他の外部要因により常に変化するため、
その会社の価値や状況に対していつも一定ではありません。

それに対して、株式の場合はどうでしょうか。

株式は、1株という単位を有しています。
そしてその単位は、株式を発行する会社それぞれに応じた尺度を、直接表しています。

例えば、新規に設立した「タナカ株式会社」が株式を 10,000株発行し、

 ・出資者Aさん  : 2,000株(出資割合:20%)
 ・出資者Bさん  : 4,000株(出資割合:40%)
 ・出資者C社   : 4,000株(出資割合:40%)
 ・発行済株式総数 :10,000株

で配分すれば、それぞれの出資割合(とそれに応じた権利の割合)は明確です。

さらに「タナカ株式会社」がその後、新たに 10,000株を追加発行した場合でも、

 ・出資者Aさん  : 2,000株(出資割合:10%)
 ・出資者Bさん  : 8,000株(出資割合:40%)
 ・出資者C社   : 4,000株(出資割合:20%)
 ・出資者Dさん  : 6,000株(出資割合:30%)
 ・発行済株式総数 :20,000株

と、それぞれの出資割合(とそれに応じた権利の割合)は明確です。

この「タナカ株式会社」と別の「イトウ株式会社」では、同じ 20,000株を発行して
いたとしても、「1株あたりの権利が有する財産的な価値」は異なります。

会社の状況はそれぞれ異なるので、これは当たり前ですよね。

また、同じ「タナカ株式会社」でも設立時の 10,000株の時とその後さらに 10,000株を
追加発行した時では、会社の状況や規模、売上といった内容は異なるのが普通です。

株式という、細分化された明確な単位を有するものを発行し対価を払って保有することより
その時々に応じた出資割合、つまり「財産的価値を有する権利」の割合が明確になります。

株式は「均一に細分化」されているため、比較的小さい単位で会社に対する権利の一部を
切り出して出資することができ、且つその権利割合が常に明確になるということですね。

上記の例では、設立時のみ出資したAさんやC社も、最初に出資してその後買い増した
Bさんも、追加発行時に初めて出資したDさんも、最新の出資割合は一目瞭然です。

発行会社自身の規模や状況に応じて株式を発行することで、母数(発行済株式総数)と
各株主の出資割合(それぞれの保有株数)が常に明確
であり、管理しやすいのが利点です。

株式って、本当に良くできた便利な仕組みですね。

株式の2つ目の役割は、必要な資金の調達と資産への組入れです。

株式会社は設立時やその後の運転資金が必要な時には、株式を発行して出資者を募り、
これに応じる者がいれば資金を得ることが出来ます。

株式の対価として出資者から供与された資金は、貸借対照表上は純資産として組込まれます。
純資産は会計学上の表記であり、一般的には自己資本・株主資本とも呼ばれます。

純資産として組込まれた資金は、返済の必要はありません。
文字通り、会社の「資産」になったのです。

会社が必要な資金を得る手段としてはもう一つ、「融資」があります。
これは文字通り「借金」であり、貸借対照表上は「負債」として組込まれます。

また「借金」の一形態として、有価証券としての「債券」を発行することもできます。
これらは当然、期限が来たらすべて返済する必要があります。

それに対して、株式を発行して出資者により供与された資金は会社のものとなり、
会社が存続する限りは永久に返済する必要がないのです。

これって、スゴイ仕組みですよね。

だって株式という、目には見えない元手の全く掛からないものを発行するだけで、タダで
お金が手に入るのです。まさしく、濡れ手に粟、もうウハウハですね。

それでは、株式に出資して株主になる個人や法人は、一体何を考えているのでしょうか?
もうそのお金、会社には返してもらえないんですよ?
何の得があるというのでしょうか?

それだけの危険を冒して株式に出資するからには、何らかの見返りがあるはずですよね。

これについては、今後作成するコンテンツ(2)「株式投資の本質」に記載する予定です。

  株式の本質と役割のまとめ

今回は「株式の本質と役割」と題し、株式とはそもそも何たるかを考えて参りました。

株式の本質と役割に関するまとめとしては、下記の通りとなります。

 ①株式の本質
  ・株式とは、財産的価値を有する権利である。
  ・株式に出資した株主は、出資した範囲内で債務責任を負う。
  ・株式に出資した株主は、会社の経営を経営者に委任する。

 ②株式の役割
  ・出資者の権利割合を、自社の尺度で明確に管理できる。
  ・株式を発行して必要な資金を調達し、純資産に組込める。

株式とはどういうものであるか、イメージとして捉えて頂けましたでしょうか。

次は、株式に出資して株主となる株式投資は、何を期待して行うのか、その
本質についてコンテンツ(2)「株式投資の本質」で考えて行きたいと思います。

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プロフィール

 Author : 圭壱

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0% )

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%)

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%)

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%)

 ・2017年   4,739 万円 ( +76% ・ +203%)

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