株式投資のリスク

株式投資が初めての方や、始めたけれど内容が良くわからない方向けの
株式投資の予備知識」のコンテンツ(3)「株式投資のリスク」となります。

前回のコンテンツ(2)「株式投資の本質」では、株式投資や株主について掘り下げました。

今回は、株式投資によって起こり得る「リスク」にはどの様なものがあるのかについて、
考えて行きたいと思います。

  株式投資のリスク分類

はじめに、「株式投資」にはどの様なリスクがあるのかを考えてみます。

株式投資のリスクを整理するため、おおまかに分類してみます。

株式投資では、投資資金で対象企業の株式を取得し、株主となって保有します。
投資資金である現金は、株式という資産にその時点での等価で交換された訳です。

この株式という資産は、投資した時点の現金の価値や、その後の同額の現金の価値の振れ
(インフレやデフレ)に対して、常に同じ程度の価値を維持し続けるのでしょうか

答えとしては、「いいえ」となります。

現金の価値に対して株式の価値がどうなるかは、その時点の様々な環境に左右されます。

影響を与える環境について整理すると、下記の通りとなります。

 ①世界の状況
 ②投資先の企業が属する国の状況
 ③投資先の企業が属する業界の状況
 ④投資先の企業の状況

①と②はいわゆる外部環境、そして④は内部環境となります。
③はその中間的な存在です。

ここで ① ~ ③ の分類はあくまでも例であり、これが正解と言えるものはありません。
細分化しようと思えば、いくらでも可能でしょう。

そしてその影響力は、一般的には ① > ② > ③ > ④ の順となります。

内部環境である④が如何に良い状態であっても、①で世界が壊滅的な状況に陥れば、
企業の価値は例え一時的であるにせよ、一旦は大きく目減りします。

もちろん ① ~ ③ に大きな変化がなければ、④の変化による影響を最も強く受けます

また、「状況」というのも事象としては無限にあります。

株式投資の対象となる企業は経済的な活動を事業としている訳ですから、最も影響を
与えるのは、やはり経済に関する状況となります。

しかし、それ以外の様々な状況も、株式の価値に影響を与える場合があります。

政治や外交の問題、人口や移民、環境問題、紛争や戦争、格差や宗教、自然災害など、
様々な問題が直接・間接問わず株式に降り掛かってきます。

そして、①に近づくほどその対象が広範なものとなり、考慮すべき事柄が多くなります。

例えば、

 ・世界共通の公式な会合において、ある事柄についての制約が決定
      ↓
 ・投資企業が属する国にとって不利なものに
      ↓
 ・投資企業が属する業界が縮小
      ↓
 ・投資企業の業績が悪化

といった分かり易い影響もあれば、

 ・世界の反対側で起こった一見無関係な出来事
      ↓
 ・巡り巡って投資先企業にマイナスの影響

といったこともあるのです。

この様に、株式の価値に影響を与える可能性のある事柄は非常に広範に亘るため、全ての
リスクを事前に予想し、実際に避けることは極めて難しいのです。

特に「①世界の状況」については、この先何が起こるのか、そしてその影響がどの程度で
どの位の期間に亘り影響を与えるのかは、事前には予知出来ないのが現実です。

これに対して、「②投資先の企業が属する国の状況」は、国によってはもしかすると
ある程度は見通せるかもしれません。

 ・今後数十年に亘って優れた指導者により繁栄する
 ・経済的にも大きく成長する
 ・諸外国とも良い関係を保つことが出来る
 ・地震など大きな自然災害も発生しない

といった、非常に明るい見通しを立てることの出来る国があるかもしれません。

しかしそういった投資対象としては素晴らしいと思える国であっても、やはり想定外の
事象に陥る可能性が全くないとは言い切れないのです。

「③投資先の企業が属する業界の状況」と「④投資先の企業の状況」については以降の
コーナーに記載しますが、ここまでの内容をまとめてみます。

株式投資においては、

 ・株式の価値は、世界や投資先の国で起こる様々な事柄の影響を受ける。
 ・それらの事柄を投資時点で全て予知し、事前に避けることは不可能。

となります。

つまり株式投資を行うに当たっては、現実的には

 ・世界で起こる様々な事柄の影響を受けるリスクを想定し、これを受容する。

ということが大前提となります。

  投資先企業の業界リスク

次に、先のコーナーで記載した「③投資先の企業が属する業界の状況」を考えてみます。

投資先の企業が属する業界が何であれ、必ず何らかのリスクが存在しています。

企業が属する業界を取り巻く主なリスクには、次の様なものがあります。

 ①各種規制リスク
  ・法律による規制や認可、税制の変更等
  ・業界による自主規制

  法律等の影響を強く受ける業界では、その変更内容によっては事業の存続が非常に
  難しくなるケースがあります。

  例えば、多重債務者の問題から2010年に施行された「改正貸金業法」による影響です。
  
  この法改正では、年収に対する貸付金額の総量規制や金利の適正化が行われ、上場する
  消費者金融企業が倒産するなど、業界に激震が走りました。

 ②事業の継続リスク
  ・衰退産業
  ・新しい技術やサービスの出現

  昨今は技術革新のサイクルが非常に短くなっており、今までにない全く新しい技術
  用いた製品や新しいサービスが登場し、一気に普及することは今や珍しくありません。

  一方で、これらに代替される事業を行っている企業には、大きな脅威となります。

 ③業界固有のリスク
  ・薬害(製薬業界)
  ・公害(金属業界、化学業界)
  ・健康被害(健康薬品、健康食品、化粧品、美容品、家庭用品)
  ・食中毒(食品業界、飲食店業界)
  ・不良品の大量発生(メーカー系)
  ・反社会的要素(パチンコ業界、カジノ業界)

  上記は一例であり、あらゆる業界には様々な固有のリスクが存在します。

  リスクが現実のものとなり、世間に与えたマイナスのインパクトが大きい場合、
  企業の存続に大きな影響を与える場合もあります。

上記の各リスクは、投資先の企業ではコントロール出来なかったり、例え細心の注意を
払っていたとしても、その発生を完全には防止出来ない性格の事柄です。

どの業界においても、必ず何らかのリスクが存在します。
逆に言えば、リスクが全くない業界というものは存在しないのです。

しかしそのリスクは業界によって異なり、万一発生した場合の影響も千差万別です。

投資方針として、大きな影響を与えるリスクの存在する業界に属する企業には、
初めから投資しないという選択もあります。

株式への投資に当たっては、投資先企業がメインとしている事業の性格やその将来性
継続性を含む業界固有のリスクについて十分に検討し、理解する必要があるのです。

  投資先企業のリスク

続いて、先のコーナーで記載した「④投資先の企業の状況」について考えてみます。

投資先の企業そのものについても、必ず何らかのリスクが存在しています。

投資した株式の価値は、長い投資期間の中には一時的には世界や投資した国、投資した
業界の影響を受けることもありますが、最終的には企業の状況に回帰します。

内部環境としての、企業を取り巻く主なリスクには次の様なものがあります。

 ①経営リスク
  ・経営者の人柄や考え方
  ・経営方針や事業計画

 ②財務リスク
  ・資金計画
  ・キャッシュフローの状況
  ・負債の状況
  ・事業外の純投資

 ③事業リスク
  ・ビジネスモデル
  ・投資と回収
  ・他社とのライセンス契約による製品やサービスの提供
  ・特定事業や特定顧客への依存
  ・訴訟

上記は一例であり、これが全てという訳ではありません。

外部環境や業界に起因するリスクとは異なり、これらのリスクは経営者自身が考えて
計画したり対策を検討し実行することで、企業がコントロールすることが可能です。

だからこそ、株式投資に当たっては投資先の企業にこれらのリスクがどの程度あるのか
今後発生したり問題になる可能性がどの程度あるのかを、良く見極める必要があります。

経営者の考え方に疑問があったり、どう考えても無謀な事業計画相対的に大きな負債
がある場合は、今後の経営方針について確認した方が良いでしょう。

また参入障壁が低く、扱う製品やサービスが直ぐにコモディティ化(一般化)しそうな
脆弱なビジネスモデルだったり、特定の顧客から売上の大部分を得ている様な場合も
今後の対応を確認するなどして、慎重に判断する必要があります。

もちろんこれらのリスクを完全に避けることは不可能ですが、企業に直接問い合せたり
様々な資料に目を通すことで、ある程度の見当を付けることは可能です。

そして株式投資における最大のリスク、すなわち最悪の結末は、投資先企業の破綻です。

投資先が破綻すると、株主は株式のデメリットである「出資した範囲内での債務責任」を
負うこととなり、ほとんどの場合株式は無価値となって投資資金の全てを失うのです。

この様な結果に陥らない様に、投資先企業は様々な角度で良く見極めることが大切です。

  株式投資リスクとの対峙

これまで、「株式投資」によって起こり得るリスクについて考えてきました。

ここまでの内容をまとめると、下記の通りとなります。

 ・外部環境に起因するリスクは必ず存在し、且つ広範囲に亘る。
  従って、投資期間中にその発生を予知し避けることはできない。

 ・業界毎のリスクも程度の違いこそあれ、必ず存在する。
  同様に投資期間中にその発生を予知し避けることはできないが、投資対象とする
  業界を選ぶことで、相対的に大きなリスクを避けることは可能である。

 ・内部環境に起因するリスクも必ず存在するが、企業自身がコントロールできる。
  様々なアプローチを通じて企業の状況を理解することで、投資先の企業を選択し
  相対的にリスクを低下させることは可能である。

ここで、コンテンツ(2)「株式投資の本質」において、下記の通り記載しました。

 ・自らの資金を会社に長期的に提供することと引き替えに、会社の実質的なオーナー
  となり、経営上の重要な意思決定を示し、結果としての利益を受ける権利を有する。

 ・普段の経営は経営者に委ねるが、経営者の選出やその他の経営上の重要な事項に
  ついてはその可否を決定し、会社経営の方向性を導く役割と責任がある。

 ・株主と会社の利害は一致しており、経営が良い方向に進んでも悪い方向に
  進んでも、経営者と株主は一蓮托生である。

株式投資の本質は、投資後は会社の実質的なオーナーとして経営者と一蓮托生となって
会社を良い方向に導き、株式の価値を高めることです。

これは決して、一朝一夕に実現できるものではありません。
同一企業への株式投資は、必然的に長期間に亘るのです。
したがって、その間は様々なリスクに上手く対峙する姿勢が求められます。

これまで解説して参りました、株式投資で起こり得るリスクとその対応方法も、全て
この株式投資の本質に沿った内容となっています。

株式投資の本質は長期に亘る投資先企業の応援であり、株主は投資先企業の活動と成長
と共に、社会的にも貢献します。

投資先の企業が成長する長期間に亘り、外部環境に起因する様々なリスクを乗り越え、
企業自身によるリスクを極力抑える様に、株主として要所で適切な判断を下します

そのプロセスにおいて、冒頭の3つのリスクは必ず存在するため、可能な限りリスクの
低い業界や企業に投資した上で、不可避な外部リスクに備える事が重要となるのです。

なお、リスクの高い業種に属する企業や、リスクの高い企業への投資もまた一概に否定
されるものではありません。

株式投資は企業の応援であり、大きなリスクを負ってでも応援したい業種や企業
あれば、その投資家に取って実行すべき投資先となり得るのです。

  株式投資のリスクのまとめ

最後に、「株式投資」によって起こり得るリスクと対応スタンスについてまとめます。
 
 ・株式投資のリスクは、慎重な事前の検討と投資後の株主としての適切な行動に
  よりある程度は避けられるが、ゼロにするのは不可能である。

 ・しかしそれは乗り越える必要があり、株式投資に当たっては初めからその心積もり
  とそれに即した行動が求められる。

 ・株式投資は、事業リスクを含む様々なリスクを乗り越えて、経営者と一体となって
  企業価値を高めていく経済的な活動である。

株式投資により起こり得るリスクと、それにどう対応すべきかについて、捉えて
頂けましたでしょうか。

次回は、株式投資で得られるリターンについてコンテンツ(4)「株式投資のリターン
で考えて行きたいと思います。

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管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

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