先日、2186 ソーバル から2018年2月期の株主通信が届いた。
同社のWebサイトには、5月25日に公開されている。
その中に、2018年2月期の総括をまとめたページがある。
初めは、業績結果について。
画像出所:ソーバル株式会社 株主通信 2018
売上高・純利益ともに過去最高額となった業績指標と前期比を誇らしげに表示。
営業利益・経常利益は共に2016年2月期を下回っているが、結果的には過去最高益を達成した。
新規技術分野への進出や受託開発業務の拡大により「1人当たり売上高」「営業利益率」が
向上したとしている。
次に、新規取引先の状況。
画像出所:ソーバル株式会社 株主通信 2018
期間中は新規取引先から 7.5億円の売上を計上し、グループが各面で高い評価を得ていると
記している。
新規取引先からの売上高は、前の期の 3.42億円から約2.2倍に拡大している。
成長には欠かせない新規顧客からの受注が拡大しており安心して保有出来ると共に、今後の
成長期待が一段と高まる。
続いて、顧客別構成比率。
画像出所:ソーバル株式会社 株主通信 2018
同社はここ2年ほど、メイン取引先であるキャノングループに依存した経営からの脱却を明確に
謳っている。
そして2018年2月期の結果として、脱却に向けて着々と進展した事が明記されていると共に
ソニーグループや富士通グループへの案件種別が紹介されている。
売上構成比率を前の期と比較した円グラフが記載され、
・キャノングループ : 52.2% → 45.8%
・ソニーグループ : 12.7% → 13.9%
・富士通グループ : 8.5% → 9.6%
・リクルートグループ : 3.3% → 3.4%
・NTTグループ : 2.8% → 3.2%
・その他 : 20.5% → 24.1%
と、キャノングループ以外への売上構成が確実に増えている。
次に、取引先数と実績について。
画像出所:ソーバル株式会社 株主通信 2018
前述の売上構成グラフでは「その他」に入るが、同社が力を入れているのが日立グループである。
取引先総数は 159社 → 181社 となり、14%近く増加した。
そして注力している日立グループの売上高は、0.42億円 → 1.39億円と 3.3倍に拡大。
自動運転技術を中心に、組込み(ソフトウェア)の技術が評価された旨が記載されている。
日立グループには今後も力を注いでもらい、将来単独で円グラフに記載される様にしてほしい。
話しが少し逸れるが、自動車業界は大きなパラダイムシフトを迎えている。
トヨタ自動車が異例とも言える場中に開いた決算報告の記者会見で、豊田社長が最高益達成にも
関わらず強い危機感を表明したのはその象徴といえる。
これまでエンジンおよび周辺機構という「機械の塊」であったものが、モーターおよび電池と
いう単なる「家電製品」、それもインターネットに接続出来る製品になろうとしているのだ。
これまでの技術が通用しないモノに生まれ変わろうとしており、従来自動車メーカーの危機感
たるや相当なものであろう。 反面、あらゆるメーカーにとって大きなチャンス到来という事になる。
そしてやがてはインターネット接続により制御されるであろう自動運転は、これから長いテーマになる。
ソーバルもその時流に乗り、ソーバルとしてのパラダイムシフトを実現してほしいと願っている。
最後に、もう1つのテーマである売上構成比率。
画像出所:ソーバル株式会社 株主通信 2018
これまでの、単に技術者を契約先企業に送り込む「派遣」形態の契約ではなく、当社自身で
仕様に基づき製品を開発し納入する「請負」形態の契約への転換を目指している。
当社の持つ技術力(優れた品質管理・要員管理・進捗/納期管理=プロジェクトマネジメント)を
活かし、提案型の請負案件の受託増を目指していると想われる。
これにより、売上高営業利益率の向上に繋がる事が期待される。
そして2018年2月期は、請負契約が派遣契約を上回った事が円グラフで示されており、進展している。
現状の環境を鑑み、請負契約の割合を60%程度まで引き上げる事を目標としており、目標に向かって
転換を進め、利益率の向上に是非繋げてほしいと思う。
以上、2018年2月期の総括を俯瞰すると会社が想定した通りに構造変化が進み、今後の成長に向けた
土台作りを確実に行っていることが読み取れる。
最後に、これまでの株価の推移を確認してみる。
下図は、同社の週足チャートおよび四半期決算における純利益の推移を表したものである。
チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY
現在の求人状況を反映して人材派遣企業はどこも活況を呈しており、株価が派手に、或いは力強く
継続的に上昇している銘柄は沢山存在する。
それらの銘柄に比べてソーバルの株価の動きは普段は地味ではあるが、2017年に入ってからは
業績が増益基調となり、株価も四半期決算発表を好感して上昇している。
しかし発表で買われて上伸しても、その後一旦は売られやすい性質の様で上髭が目立っている。
特に2017年7月21日は、株式分割・増配・株主優待拡充の3点セットの発表で株価は大きく反応。
週明けにはストップ高を経て1,290円まで大きな髭を付けた。
続く2Q、3Qの決算発表後も上髭を付け、本決算発表後も 1,497円と大きな髭を付けている。
現在の株価 1,250円程度は、今期予想 EPS:52.28円に対して予想 PER:24倍程度である。
他の銘柄に比べれば、今後の成長性を考えるとまだまだ割安だと感じている。
今回の株主通信により、成長に向けて着々と手を打ち良い方向に動いている事を確認できた。
成長のための線路が確実に引かれている事で、安心して投資を継続できる。
今後も上髭による高値を更新しながら、成長に伴い段々と階段を昇っていく事を期待している。
引き続き、増え続ける配当を得ながらのんびりと長期投資のスタンスで応援して行きたい。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00261]
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