新聞1面の見出しに連日、「不正」の文字が躍る。
7201 日産自動車、政府系金融機関である商工中金。 そして 5406 神戸製鋼所。
近年、上場企業の不正行為が後を絶たない。
6502 東芝 の不正会計の舌の根も乾かないうちに、このザマである。
一体、日本はいつからこうなってしまったのか。
日産自動車については、直近3年以内に販売された新車38車種、合計 116万台のリコールに発展。
国内の6工場で、新車の完成検査を社内の規定で認定されていない検査補助員が単独で行っていた。
西川社長は会見で「認定作業員が検査する認識が十分ではなかった。」
と話し、その責任を現場に押しつけているが、俄には信じられない。
そんな事は、基本中の基本ではないのか。
その様な実態がまかり通り、それが当たり前になっている。
もう一歩想像すると、そうせざるを得ない何かがあったのではないのか。
2017年上期における新車販売台数が世界首位になった事と、何か因果関係は無いのか。
これは単なる偶然か。
石井国土交通省大臣は会見で「日産が無資格の従業員にも新車の検査をさせていた上、結果を
記録する書類に正規検査員のハンコを押していた事実を確認した。」と言明し、不信感を表した。
これが事実だとすれば、”認定作業員が検査する認識は十分であり” 組織的な偽装である。
なぜ同社は、7211 三菱自動車 や 独フォルクスワーゲン を他山の石と出来なかったのか。
私は実はクルマ好きであり、今は子供もいるので普通車に乗ってはいるが、本当はスポーツ系の
クルマがほしいのである。
そして日産が最も力を注ぐ、渾身のスポーツカーである「GT-R」までもが不正検査の対象となって
いた事に、少なからず衝撃を覚えたのである。
衝撃価格(最低 1,200万円、エンジンを認定熟練者が手組みするNISMOは何と 1,900万円!)の
GT-Rよ、お前もか。
オーナーの方は更に衝撃であろう。
専用ラインで組み立てられる別格のクルマも、特別扱い(?)はしなかった。
そして、神戸製鋼所である。
こちらは致命的である。
主要製品を含む、大多数の製品の品質検査データを組織的に改竄していた。
しかも10年前からというのである。
今月8日に同社が今回の不正を発表後、その範囲は連日拡大している。
発表時はアルミ・銅製品だったのが、11日には鉄粉製品、光ディスク材料、子会社に拡大して
13日には銅合金管、銅管、アルミ合金線・棒、銅板製品、鋼線、特殊鋼、ステンレス鋼線も対象に。
そして出荷先は13日現在、自動車、航空、鉄道、電機、原発など500社に上った。
画像出所:株式会社神戸製鋼所
前期末の株主向け挨拶と社長の笑顔が、空しく見える。
川崎社長は2013年4月1日に社長に就任しており、現在は会長も兼ねている。
今回の不正はまだその全貌が明らかにされてはいないが、その行為は少なくとも2007年から
行われていた様である。
同氏は2007年4月に同社の執行役員に昇格しており、つまり皮肉にも今回発覚した一連の不正行為
とそれによる業績と共に、役員の階段を昇って来たという事になる。
同社は2016年3月期、2017年3月期と連続最終赤字に陥り、今期は黒字転換が掛かっていた。
2016年度から2020年度までのグループ中期経営計画において、
「新たなビジョンへの取り組みをスタートさせ、付加価値を更に高め、競争優位性を発揮していく
ことで事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指す」
としていた最中での、今回の不正発覚であった。
一体どうするのでしょうね、これ。影響範囲がグローバル過ぎて、もう一筋縄では行かないだろう。
顧客にどういう形で補填するのか。
何をどこまで補填するのか。
これから最終的な決着まで、大変な道のりが予想される。
そしてそれらに掛かる間接・直接費用と信用失墜のインパクトが強すぎて、もう自力ではどう
あがいても存続できないだろう。
しかし大き過ぎて潰せない、典型的な大企業である。
前期の売上高は約 1兆7,000億円、グループ全体の従業員数 4万8千人、
不正発覚前の時価総額は約 5,000億円。
一部の報道にある様に、一連の後処理を終えた後、事業を分離して同業他社に従業員ごとM&A
されるのだろう。
同じ様に主要製品の品質問題が発覚し、上場廃止となったタカタを見て、経営者は何とも思わな
かったのか。
メーカーは主要製品に品質上の問題があれば、経営にトドメを刺される。
何も経営者でなくとも、一従業員でもわかる理論である。
幾ら業績を上げたくてもこれでは本末転倒であり、只の犯罪組織である。
こう上場企業の不祥事が重なると、コンプライアンスの重要性が増してくる。
PF銘柄である 6035 アイ・アールジャパンホールディングスの仕事が増えるという訳である。
経営者がコンプライアンスを軽視する企業のステークホルダーは、最後には皆不幸になってしまう。
企業はコンプライアンスを決して疎かにしてはいけない。 それを怠った場合、何れはしっぺ返しが
来るのだ。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00097]
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