投資全般

(提案) IPO公募株にロックアップ枠の創設を

成長する企業を探し出そうとすると、自然とIPO企業にも目が行く様になる。

IPOしたての企業の中から将来大きく成長しそうな有望企業を自分で選び出し、初期の頃から投資して
その成長と共に評価額が増えていくのを見るのは、成長株への長期投資の醍醐味であろう。

IPOする企業に投資するには事実上、上場後に市場(セカンダリーと呼ぶらしい)で購入するしかない。

もちろんセカンダリーと呼ぶ位であるので、当然プライマリーが存在する。
それは言わずもがな、IPO時に企業が新規に発行する株式である公募株式の事である。

しかし先程「事実上」と記載した通り、狙いの企業に絞って公募株を入手するのは非常に困難である。
長期で投資したい企業にスポットを当てて普通に公募株を申し込んでも、まず入手する事は出来ない。

当然そこには、昨今のIPO公募株投資の人気の高さがある。
もちろんそれは、IPO時の公募株を入手し、上場時の初値で売却して利益を得る投資手法の事である。

その話題に移る前に、世の中のあらゆる投資対象や投資手法においてはそのリスクとリターンには
何らかの相関関係がある。

「ハイリスク・ハイリターン」や「ローリスク・ローリターン」は、当然ながら存在する。
しかし中には、「ハイリスク・ミドルリターン」、もっと酷いのは「ハイリスク・ローリターン」も
存在するから注意が必要である。

つまり、取るリスクに対してリターンが低く釣り合わないものは数多く存在する。
しかし一方で、リスクに対してリターンが大きい、「ローリスク・ハイリターン」はおよそ存在しない。

勿論、富裕層を対象とした投資には存在する。

しかし、中には一般庶民でも手が届く例外がある。
それが、IPO公募株入手・初値売りの投資である。

2013年からの5年間の、全IPO企業における公募価格→上場初値の平均上昇率は下記の通りとなっている。

 ・2013年 : 117%
 ・2014年 :  88%
 ・2015年 :  87%
 ・2016年 :  70%
 ・2017年 : 109%

それぞれ相場環境や上場企業も異なるため単純には比較は出来ないが、ざっと平均すると9割程度の
利ざやが稼げたのだ。

つまり何も考えず、上場するIPO公募株を次から次へと入手して初値で売却すれば、平均して1銘柄
につき1.9倍に増えたのである。

これだけ美味しい投資手法である。
手掛ける投資家の裾野は広く、その入手は大変困難である。

一般人のIPO公募株の入手に奇策は無く、当たり前の努力を継続して地道に行う事を要求される。
すなわち、

 ・1つでも多くの証券会社に口座を開設する。
 ・1人でも多くの家族の名義を使う。
 ・証券会社それぞれのルールを見極め、効率的に計画し実行する。
 ・IPOスケジュールに従い、資金を効率的に回す。

抽選日のずれや抽選前の入金必要の有無、抽選方法(預かり資産や完全公平、落選時ポイント有無や
その使い所など)などにより緻密な計画を立て、限られた資金で可能な限り多くの証券会社の抽選に
参加する事が求められる。

私など、とてもそんな手間暇と資金の用意は出来ない。

ほしい企業を対象に、現在口座がある証券会社に手持ちの資金の範囲で普通に申し込むだけである。
なので、まず当選しない。

 
以上を踏まえ、ここからが提案である。
IPO株投資家の方には眉唾ものの、嫌がられる内容であるがご容赦頂きたい。

IPO公募株を入手して初値で売る事にも、当然ながら意義がある。
公募株を売ってくれる投資家が存在しなければ、市場での取引が成立せず初値が付かない。

個々の投資家が儲かるかどうかを別にしても、これはこれで重要な事実である。
しかし一方で、企業が新規に上場する意味や意義を考えるとどうであろうか。

企業は上場により、

 ・IPOやその後のPOにより株式を発行し、投資家や市場から資金を調達し成長に向けた投資が出来る。
 ・上場の事実とその基準に合う情報開示により、信用力が向上し事業を優位に進められる。
 ・役員や従業員が自社株を保有し株価が上昇する事で、士気が向上し成果に繋がる。
 ・自社の長期的・安定的な一般株主を増やし、ファンとなってくれる事で様々な面でプラスになる。

等のメリットがある。

この時に大切なのは、最後の「自社の長期的・安定的な株主の増加」である。
自社株を長期的に保有してくれる個人投資家は、大切にする必要がある。

そこから口コミで、自社の株式や製品・サービスを他の人が購入・利用してくれるかもしれない。
企業としての評判が上がるかもしれないのだ。

それらの、自社の株式を長期的に保有して応援してくれる株主を最初に手に入れるチャンスは
IPO時の公募株にあるのだ。

前述の様に、上場後は初日を含めて日々一定水準の出来高を維持して取引を成立させ、株価を形成
させなければならない。

上場初日から、浮動株の売り手は必要である。
しかし一方で、長期に保有してくれる安定株主の増大もまた必要である。

安定株主が増えなければ、長期的に株価が右肩上がりにはならず時価総額が増えない。

そこで、提案である。

公募株式の中のある割合を、既存の大株主が受けている様な制限を付けてはどうか。
いわば、”ロックアップ制限付き公募株式” として売り出すのである。

上場後90日や180日など、一定期間経過しないと市場で売却出来ない株式として募集するのである。

こうすれば、初値で直ぐに売りたい投資家ではなく、その企業の成長に魅力を感じて応援したい
投資家だけに絞る事が出来、そうした投資家が公募株を入手するチャンスを広げる事が出来る。

もちろん、通常の公募株との発行割合はよく検討して決める必要がある。

初値が適切な価格で直ぐに付く様にする必要があり、対象企業の人気の程度にも左右されるため
その判断は難しいとは思うが、企業毎に個別に設定する必要があろう。

公募株が短期・長期それぞれのスタンスの投資家に分散されて行き渡る事が、IPO企業自身にとっても
結果的に良い事だと考えている。

IPOに伴う公募株式は、これから成長する自社を長期で応援してくれる投資家を得るのにまたとない
チャンスである。

IPO投資家の方は眉をひそめるかもしれないが、証券・取引所関係者にはその実現に向けて是非とも
検討してほしいものである。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00285]

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管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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