投資全般

日本人が貯蓄から投資へ目覚めるには?

皆さんは、自分が投資をしている事を周囲の人に話しているだろうか。
私は会社員であるが、社内で株式投資をしている事を自分から話す事はない。

今までほんの数人とは話しの流れでそういった話題になり、相手から聞かれた事はある。
その様な場合は、「うん、まぁ少しやっている」程度に答えている。

すると相手は、「やっているんですか、凄いですねぇ。 儲かっていますか?」と聞いてくるので
「いやぁ、あんまり儲からないねぇ」と適当にはぐらかして答えている。

そういう相手の投資手法をそれとなく聞いてみると、例外なく「市場の値動きに投資」している。
要はファンダメンタルズ分析に基づく投資ではなく、テクニカル分析に基づく投資手法なのだ。

つまり投資先企業がこれから成長するかどうかではなく、今の株価の位置がどこにあり、これから
どうなるかを予想しそれに懸けて投資をしている。

その時間軸は別にしてもいわゆる「トレード」であり、タイミング良く株価が上昇したら売却して
利益を得るのが目的である。 継続してずっと持ち続けるつもりは、更々ないのだ。

従って投資の対象というか焦点は、決して企業の活動やその結果ではなく、あくまでも株価なのである。
私が社内で数人からちょっと話しを聞いた範囲では、例外なく全員がそうであった。

だからさきほどの「凄いですねぇ」という言葉は決して褒め言葉ではなく、おそらく自分自身が感じた
「株式みたいな、先のわからない、忙しい、大変なものによく投資していますね」という意味なのだ。

一般の人が株式投資に対して抱くイメージといえば、その程度なのである。
つまり、こんな感じだ。

 ・株価など、買った瞬間からどう動くかわかったものじゃない。
 ・少しでも上昇したら、機会を逃さずに素早く売らないといけない。
 ・株式を保有している間は片時もゆっくり出来ず、疲れてしまう。

政府がいくら「貯蓄から投資へ」と声高に叫んでみても、一般の人は「株式投資はギャンブル」という
程度の認識しかない。

周囲に「株式投資で損をした」などと話せば、「それ見ろ、株などやるからだ」「やっぱりね」と
言われてしまうのがオチである。

 
1990年以降、日本では株式投資は儲からないもの、手出しは無用なものと市場が自ら示してきた。
日経225の推移を見れば、一目瞭然である。


画像出所:日経平均株価 AI予想(株式会社ディーボ)

常に、直前のトップを超える事が出来ずに下落するの繰り返しである。
これでは長期投資などおちおち出来ず、株式投資をするにしてもトレードに徹するしかない。

2012年以降のアベノミクスによりようやく上昇モードになりつつあるが、それまでは余程強い企業に
投資していなければ、長期で保有する事は即ち損する事を意味していた。

この20年間の株価の低迷により、日本人には「株式投資は損をするから手出し無用」という強烈な
刷込みが行われたのである。

従って、本当の意味で日本人が株式投資に目覚め、貯蓄から投資への資金の大移動が実現するには
過去の頂点、即ち日経225が 39,000円に到達する必要があるのではないかと思う。

それもバブルではなくその後も持続可能な、企業業績から見た妥当な水準として。

勿論その実現には、まだまだ時間が掛かる。
だからそれまでは、政府や証券関係者は地道に浸透・啓蒙活動を継続するしかなさそうである。

 
一般の人が、株式投資は決してギャンブルなどではなく資本主義社会において経済的に理にかなった
行動であることを理解し、行動する様になるためにはどうしたら良いのであろうか。

それには事実を地道に語り、啓蒙して行く事であろう。
はやりのトマ・ピケティ r>g でも良いが、やはり具体的な実例は分かり易い。

投資先の企業が本当に成長すると、その株式をただじっと保有しているだけで大きなリターンを
もたらしてくれる。

例えば、ユニクロブランドでお馴染みの 9983 ファーストリテイリング である。

同社の柳井正会長兼社長は、2018年2月現在で同社株式 2,298万株余りを個人名義で所有している。
2017年8月期の1株当たりの配当額は 350円であり、同氏は税引き前で 80億円余りを受領している。

同氏はこれまで自分の会社を成長させる事に心血を注いでおり、株式投資をしているという心境はなく
日々の株価を一々気にするはずがない(経営者として、他の株主への配慮としては気にするだろう)。

そんな事よりも、文字通り自分自身が先頭に立ってこれまで会社を成長させてきたのだ。
自分でするか他人に託するかの違いはあるが、本当の意味での株式投資とはそういうものであろう。

一般の人がこれから株式に投資する際にも、これと同じ視点で行うのが一番良いと思う。

成長しそうな企業をじっくりと選び出し、一旦投資したら日々の株価の値動きは気にせずに長期で
保有を続け、大きく成長するまで持ち続けるのである。

もちろん投資先企業の事業環境や事業内容、経営者や経営状況、財務状況や業績などには注意を払い、
当初の想定と比較して大きな乖離や問題が無いことが前提である。

企業の成長に向けた活動と結果に留意し、株価は後から付いてくるものと考えるのである。

貯蓄から投資に向けた啓蒙活動を継続して行い、晴れて日経平均株価がバブル頂点を超えた暁には
その先に新しい世界が開けると考えている。

その日はいつやって来るのであろうか。
いつになるのかはわからないが、やがてその日は到来するだろう。

これからも投資を続けながら、楽しみに待ちたいものである。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00286]

コメント

  • コメント (4)

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    • なおとら
    • 2018年 7月 23日

    コメント失礼します。
    初めてブログ拝見させて頂きました。
    中長期投資の考え方に共感致しました。
    自分はこれまでチャートに踊っていた投資をしていました。
    差し支えなかったら、銘柄選択の基準をご教授頂けないでしょうか。

      • 圭壱
      • 2018年 7月 23日

      なおとらさん、初めまして。

      ご訪問とコメントありがとうございます。
      長期投資は上手く利用するとリターンを大きくできますよね。
      銘柄選択の基準として、私は絶対的なものは特にはないです。
      事業内容やビジネスモデルが良く成長しそうと思えれば、
      あとは極端にPERが高いとか、財務が悪いとか、経営者が怪しいとか
      そういうものが無ければ検討の対象にしています。

      これからも、宜しくお願いします。

    • やまゆ
    • 2018年 7月 24日

    圭壱様、少し前よりブログ拝見しておりました。今回のコラム、全く同感の思いでした。まわりの人はよく、株やってる、という言い方しますよね。そこには、売り買いでうまく儲けるとういう視点しかなく、かねてから疑問に感じておりました。圭壱様と同じく、規模は小さいですが、バフェットよろしくバイアンドホールドをモットーに運用しております。共通するのは6035のIRJで、わずか200株保有させていただいておりますが、株価3桁台から大量に保有されている圭壱様の慧眼に感服したところでした。私、7839SHOEIにリーマンショック以前からほれこみ、一定数保有しておったのですが、これまでの過程で一部売却したこともあり、何もしなければと少し後悔したようなところです。今後も自分の目で成長株を見出だし、すこしずづ投資していきたいと考えておりますが、圭壱様の銘柄も参考にさせていただければと思います。今後も日本経済が持続的に上昇していき、成長株への投資、長期保有が報われる世の中になるといいですね。

      • 圭壱
      • 2018年 7月 24日

      やまゆさん、初めまして。
      ご訪問とコメントありがとうございます。

      バイアンドホールドは必ず停滞期があるので初心貫徹というか、意思の持続が中々大変ですね。
      やはり株価が動いている銘柄やテーマで注目されている銘柄に浮気したくなる時もあります。
      しかし持ち続けた結果、狙い通りに成長すれば大きなリターンが得られるのが魅力ですね。
      そういう投資方法がもっと一般的に浸透すると良いですね。

      6035 IRJ はたまたま四季報で見付け、結果的に本当に底値圏で幸運でした。
      PFの中では特段大きく投資している訳ではないのですが、その分これからも成長してほしいと願っています。
      7839 SHOEI は業績が伸びていますね。
      財務も抜群で配当性向も50%、そして株価も上昇で本当に素晴らしいです。

      本当に、こういう成長銘柄に夢を持って投資する手法が世間に浸透する事を期待したいですね。
      これからも、宜しくお願いします。

管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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