エスティック

6161 エスティック 2019年3月期・1Q決算を発表、47%増益

6161 エスティック が7月26日の大引け後、2019年3月期の第1四半期決算を発表した。

指標毎の着地状況は、下表の通りとなった。

実績 前期比 通期会社予想 進捗率
売上高 16.76億円 +75.8% 54.00億円 +31.0%
営業利益 4.14億円 +60.7% 12.70億円 +32.6%
経常利益 3.93億円 +55.1% 12.95億円 +30.3%
純利益 2.64億円 +47.1% 8.80億円 +30.0%

前期比で 75%の増収、純利益は 47%の増益となり進捗率は 30%と標準を超過して着地した。

会社は通期の予想は据え置いたが、どこかで上方修正の期待が高まる。
投資家の期待に応える、素晴らしい決算となった。

国内市場は、主力顧客の自動車産業の設備投資が各社とも積極的に行われており、前期に続いて
ハンドナットランナ、ナットランナ、ネジ締付装置の需要が拡大。

この結果、前期を大きく上回る売上高を達成したとしている。

米国市場は、貿易摩擦等の不透明感はあるものの、個人消費や企業収益は堅調を維持しており、自動車
業界の設備投資も堅調に推移。

主力のハンドナットランナは、 前年同期にあった大口売上の剥落により前期比マイナスとなったものの
足元の販売状況及び受注状況は、堅調に推移したとしている。

中国市場は、ナットランナが堅調に推移し前期を上回る売上高となった。

但し、輸出と内外需が堅調に推移した一方で固定資産やインフラへの投資の鈍化や、米国との貿易摩擦
懸念など不透明感もあり、自動車産業の設備投資も慎重にその推移を把握する必要があるとしている。

韓国市場は、自動車産業の一部で停滞していた設備投資が再開され、ナットランナの売上が大幅拡大。
またカナダ、メキシコもハンドナットランナが堅調に推移したとしている。

 
決算発表を受けた、株価の動きを確認してみる。

同社株式の日足チャートおよび四半期決算における純利益の推移は、下記の通りである。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

株価は、1月26日から2月2日にかけて2018年3月期の3Q決算発表前後で動意付き 4,890円の高値を記録。

その後は全体相場の急落に伴い、一旦 4,000円程度まで下落したがその後は留まり上昇の機会を伺う展開に。

そして4月下旬から遂に上昇し上下の後、5月中旬と下旬に 5,250円の高値を2度付けた。
その後は一旦再度大きく下落するも、今月下旬には再び上昇モードに入り昨日 5,320円の高値を付けた。

昨日は買い気配でスタートしたが、ほぼ寄り天井となり安値圏での大引けとなった。
陰線となってしまったものの、終値でも大きく窓を開けた状態となっている。

同じ様な株価の動きは、昨年10月にも見られる。
下記は、同社株式の3月中旬までの日足チャートである。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

2017年10月26日の大引け後に発表された、2018年3月期・2Q決算は純利益で 24.1%の増益となった。

26日の終値は 3,300円であったが、増益発表を受けて翌日27日の株価は 3,650円と大きく上昇して開始。
しかしそれが高値となり、安値は 3,455円、終値は 3,480円と窓を開けて陰線を描いた。

今回と全く同様のマーケットの反応であったが、その後の推移はどうかと言えば、その日の安値が
安値圏となり上下動の後、株価は次のレベルに切り上がっている。

今回も開けたその窓を再び閉める事なく、そのまま 5,000円台を維持する動きになるのだろうか。

次に、同社株式の週足チャートおよび四半期決算における純利益の推移は、下記の通りである。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

業績は2017年3月期以降は、2018年3月期・1Q以外は全て純利益ベースで増益を達成している。
安定した増益振りである。

マーケットは特に前期2Q決算以降、週足ベースで見ると発表の度に上昇という形で評価して来た。
現時点での今期予想PERは16倍程度であり、まだまだ評価される余地は十分にある。

次に、四季報夏号での記載は

【連続増配】
 主力の自動車用ネジ締め機器は海外で米国がハンド中心に続伸、欧州は増勢保つ。
 が、中国は横ばい続く。
 国内はハンド、ナット堅調だが、採算低い装置が伸び利益率低下。
 人件費増もあり営業益高原も伸び一服。 為替損見込まず最高純益続く。

【営業所】
 米国は需要好調で営業増員を継続。 遅延の第2営業所新設は18年内へ。
 中国も現合弁工場に加え販売拠点設立検討。

となっている。

”採算低い装置が伸び利益率低下”とあるが、連結損益計算書(抜粋)を見ると下記の記載がある。
(赤枠・赤字部分は筆者による追記)


画像出所:株式会社エスティック 2018年3月期 第1四半期決算短信

売上高に対して、
 ・売上総利益率は、前期は 48.7%であったが今期は 39.4%に低下。
 ・一方で販売管理費と一般管理費の合計割合は 22.1%から 14.7%に大きく向上。
 ・この結果、営業利益率は前期の 27.1%から 24.7%に低下している。

販売・一般管理費を前期比で 17%程度の増加に抑えつつ、売上高を75%も増やす事に成功している。

しかし同時に売上原価はそれ以上の2倍に増えてしまい、折角の管理費の効率化の効果が活かせず
最終的には営業利益率が 2.4%程度悪化する結果となっている。

四半期毎の細かい費用を言っても仕方が無いが、原価の上昇をもう少し抑制する事が出来たら
もっと良い結果が出せたのに・・・と思ってしまう。

47%増益の素晴らしい決算であったが、ここを少しでも減らせたらもっと良い結果になったのである。

材料となる資源価格も上昇しており中々難しいのかもしれないが、知恵を絞って少しでも利益の
上積みに結び付く様に努力を続けてほしいと思う。

それから今後の成長には欠かせない、米国や中国を初めとする海外への一層の展開と自動車業界
以外への本格的な進出である。

何れも布石は打っていると思われるが、今後の進展に大いに期待したい。

2Q以降も、世界の製造業を支える製品を創造する企業として活躍し続けてほしい。
今後の成長と躍進、それに伴う株価の上昇と配当の増額を期待しつつ長期投資を続けて行きたい。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00289]

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管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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