3817 SRAホールディングス が8月9日の大引け後、2019年3月期の第1四半期決算を発表した。
指標毎の着地状況は、下表の通りとなった。
実績 | 前期比 | 通期会社予想 | 進捗率 | |
売上高 | 97.66億円 | +3.7% | 400.00億円 | +24.42% |
営業利益 | 7.38億円 | +10.9% | 44.00億円 | +16.77% |
経常利益 | 9.93億円 | +56.9% | 44.00億円 | +22.57% |
純利益 | 4.99億円 | +16.2% | 28.00億円 | +17.82% |
売上高は前期比 +3.7%と辛くも増収、営業利益は +10.9%だが経常利益は +56.9%と大幅増益で着地。
純利益は +16.2%となったが、通期予想に対する進捗率は 17%台と低空飛行となった。
経常利益の増益率が高い主な理由は、営業外収益として為替差益を 1.89億円計上(前期は 0.1億円)
したためである。
それに対して純利益が伸びなかった主な理由は、特別利益として新株予約権戻入益が 0.54億円あった
ものの、前期あった有価証券売却益(1.17億円)が今期はゼロ、また前期は法人税等が減税されており
差し引きで 2.2億円増えたためである。
事業毎の売上高および営業利益は、下記の通りとなった。
事業 | 売上高 | 前期比 | 営業利益 ※ | 前期比 |
開発事業 | 49.19億円 | +2.8% | 7.51億円 | +17.90% |
運用・構築事業 | 11.30億円 | ▲1.1% | 2.76億円 | ▲7.07% |
販売事業 | 37.16億円 | +6.6% | 1.15億円 | ▲38.83% |
※全体の営業利益は、この他に調整額 ▲4.04億円(一般管理費及び研究開発費)を含んでいる。
事業別には、
・開発事業は、一部の製造業向けが増加。
・運用・構築事業は、企業向けおよび大学向けがほぼ横ばい。
・販売事業は、株式会社AITの機器販売が増加。
機器販売の営業利益は、前期比で大きく減益となってしまっている。
運用・構築事業も減益となっており、結果的に開発事業で全体としての増益を実現している。
ここは2Q以降は、是非とも挽回したい所である。
また中期経営計画(※本来は18年3月期までだが延長。 期間は未発表)の、本来の目標とそれに対する
今期の予想達成率、及び中期経営計画自体に対する現在の進捗率は下記の通りである。
中期経営計画 | 今期予想 | 予想達成率 | 進捗率 | |
売上高 | 400.00億円 | 400.00億円 | 100% | +24.42% |
営業利益 | 50.00億円 | 44.00億円 | 88% | +14.76% |
経常利益 | 50.00億円 | 44.00億円 | 88% | +19.86% |
純利益 | 35.00億円 | 28.00億円 | 80% | +14.26% |
経常利益は前述の理由でカサ上げされており除外すると、利益ベースでは 14%程度の進捗率となる。
純利益で 80%ではなく、今期で 100%達成する位の気構えで臨んでほしいと思う。
次に、四季報夏号の記載について。
【回復】
機器販売伸び悩み。
だが、開発受注は製造業向け組み込み案件の好調持続、サービス業向け堅調。
運用もリモート監視強化し効率化。 海外販促費の伸び抑え営業益復調。
持分益は縮小も、訴訟関連特損なく純益回復。 記念配落とすが普通増配。
【採算重視】
前期の工事損失引当金計上受け、不採算案件撲滅を強力推進。
医療・看護系大学向け総合ソリューション販売開始。
余談だが、四季報は初めにネガティブな内容を書く傾向がある。
その後で、「が、」や「だが、」や「ただ、」と続けてポジティブな内容を書きたがる様だ。
当社の場合は該当しないが、売上比率の非常に小さい事業のマイナス面を最初に記載し
本業の好調さを「ただ、」に続けて書くのは止めてほしいのだが ・・・
特に、スタートアップの事業に対してその様な順序で書かれるのは、非常に違和感がある。
話しを当社に戻すと、訴訟費用はもうご免である。
不採算案件は、引き続き2Q以降も絶対に出さない様に細心の注意を払って受注・契約締結して
中間決算では、超過着地を実現して中計に少しでも近づける様に努力してほしい。
医療・看護系大学向け総合ソリューションは、「UniVision 医療・看護系学生ポートフォリオ」
として、事業子会社であるSRA西日本から発売されている。
臨床実習に関し、実習登録機能や到達目標登録機能があり、臨床実習を見学型から診療参加型
にして医学部自身による継続的な自己点検と、改良に向けた目標設定を容易にしている。
また少し前になるが、5月7日に連結子会社AITよりセキュリティ製品のプレリリースが出ている。
同社は1991年に日本IBMとSRAとの合弁で設立され、IBMセキュリティソリューションを展開。
一方で、2009年より 3692 FFRI のセキュリティ製品「FFRI yarai」の販売パートナーとして
拡販を開始している。
今回、「FFRI yarai」用のマルウェア自動解析システム「FFRI yarai analyzer」のRPA連携
ソリューションを販売開始。
画像出所:株式会社FFRI
マルウェアと疑わしきファイルを、任意の検査フォルダに置くだけで自動的に解析が実行され
Web形式で解析結果レポートを出力。
外部ベンダーに依存しない、自己完結型のインシデントレスポンス体制の強化が可能としている。
RPAという株式市場が好きなテーマを含んでおり、こういうIRがもう少し取り上げられると株価にも
良い刺激を与えられるのであるが。
最後に、これまでの株価の動きを確認してみる。
同社株式の週足チャートおよび四半期決算における純利益の推移は、下記の通りである。
チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY
株価は、昨年12月後半と今年に入って1月後半から相場急落前の2月2日まで 4,000円を超えていたが
相場急落と2018年3月期・3Q決算の減益を受けて急落。
以降は、3,000円から 3,300円程度のレンジ相場となっている。
今回の決算発表を受けた10日の取引でも小高く始まったものの、終値では前日と変わらずマーケット
には評価されないという結果で終わっている。
株価が再び 4,000円台を目指すには、全体相場の上昇か業績のサプライズが必要な様である。
現在の株価 3,200円程度は、会社予想EPS:227円に対するPERは 14倍程度であり、下値不安はない。
寧ろもっと評価されてほしいが、いかんせん地味な企業でテーマや材料には無縁である。
因みに前述の 3692 FFRI は、2014年9月に東証マザーズにIPO後 ”セキュリティ” というテーマに
乗って、12月の株式4分割を経て翌2015年7月には 18,500円まで駆け上がるという大相場を演じたが、
その後は低空飛行を続けている様だ。
同社の株式がまた上昇して活況を呈すると、我がSRAホールディングスも釣られて上昇するかもという
淡い期待を持ってはいるのだが、果たしてその日は来るだろうか。
そんなご都合主義の夢はさておき、今後も確実な高配当を継続的に享受しつつ、今後も少しずつ成長して
株価を自らの力で持ち上げて行ってほしい。
引き続き、長期投資のスタンスで臨む予定である。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00312]
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