4792 山田コンサルティンググループ の株価が極端に振れている。
同社は8月3日の大引け後、2019年3月期・第1四半期決算を発表。
売上高は前期比 +0.6%の微増であったが、各利益は何れも ▲50%前後の減益となり
通期の会社予想に対する進捗率は、各利益とも1桁台であった。
この結果を受けて、その後の株価はどうなったのか。
その前に同社を取り巻くマーケットの土壌として、7月30日からM&A関連銘柄の株価が波乱の
展開になっている事を考慮する必要がある。
7月31日にM&A関連銘柄が波乱の展開に。さてどうする?(記事 No.00294)に書いた通り、
M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンター の両社の決算が共に減益となり、ストライク や
アイ・アールジャパンホールディングス も巻き込み、株価は大幅下落のオンパレードになったのだ。
この間、同社の株価は平静を装い比較的値を保っていた。
しかし発表された決算内容の蓋をいざ開けてみると、純利益ベースで ▲56.9%と大幅な減益に。
これを受けて、週明け8月6日のマーケットでは株価はストップ安となり 2,466円に。
下げ幅は▲500円、下落率は ▲16.86%となった。
一方、出来高は 5,300株で直近の平均よりも少なかった。つまり、大量の売れ残りが発生した訳だ。
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ここまでは良い。 問題は、その翌日である。
翌8月7日の取引では、2,216円で寄りついたものの安値は 1,986円まで売られ、ロウソク足は
陰線となって終値は 2,031円で引けた。
下げ幅は ▲435円、下落率は ▲17.63%に達した。 つまり下落率では、前日を上回ったのである。
出来高は 26万株余で、普段は多いときでも 2万株程度の同社株式は、その13倍程度が取引された。
多くの投資家が、ここで投げた訳である。
初日のストップ安は想定の範囲内として、正直ここまで下げるとは思っていなかった。
会社は決算短信の中で、75%近い売上比率である主柱の経営コンサルティング事業について
案件の引合い・受注状況は順調であり、2Q以降の業績は挽回できると見込んでいるとして、
通期の業績予想は変更しなかった。
それにも係わらず、この下落である。
これを見ると、株式市場は短期で見ると正に鉄火場であり、丁か半かの賭博場なのだと思う。
好調な事業環境であるM&A業界において、先駆の2社が想定外の減益決算で着地。
これに市場は動揺し、前日までに関連銘柄が総崩れ。
M&A事業そのものではなくコンサルティングが主体の当社ではあるが、マーケットは内心では
疑心暗鬼になりながら、決算が発表される8月3日・16時40分を迎えた。
結果は、まさかの ▲56.9%の大幅減益。
投資家の頭をよぎったのは、M&A関連銘柄のこれまでの底なしの株価下落。
8月4日・5日と頭を冷やす時間はあったものの動揺は収まらず、6日の大引け1本値・ストップ安で
その恐怖心や動揺は最高潮に達した。
しかし、やはりやり過ぎであった。
貸借銘柄である事も、その動きに拍車を掛けたのであろう。
総投げやカラ売り仕掛けの裏側では冷静な投資家が買い向かい、対抗する26万株の買いで支えた。
買いで応戦した投資家には、心から敬意を表したい。
極端な総悲観のドラマは、この日の大引けを以って静かに幕を閉じた。
株式市場という筋書きの無いドラマは、しばしば突然「ちゃぶ台返し」が発生する。
8月7日のザラ場終了後、投資家の心には人知れずその意識が醸成されていった。
その結果が、8月8日の一転ストップ高となって現れた。
大陽線となる初値安値、終値高値である。
出来高は前日を上回る、36万株近くに達した。
これで前日の「やり過ぎ」分の窓埋めを完了し、続く9日・10日も続伸してストップ安で開けた
窓の閉めを半分まで完了した。
勿論、週明け以降の株価がどう動くかはわからない。
再び下落する可能性もある。 しかし、流石に大底までは落ちそうもない。
10日の強い動きから、上手くすると3週間程度で比較的早く窓を全部閉めることに成功するかも
しれないと、楽観的に考えている。
こういう時、買値の安い長期投資家は気が楽である。
短期の値幅取りを狙う短期投資とは異なり、長期投資家としてはこの様な株価の極端な動きに
狼狽して、「振り落とされる」事だけは避けたいものである。
会社の分析を信じて、今期もそしてその先も長期で離さず投資を続けて行きたい。
遙か先にある、同社の未来が今から楽しみである。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00313]
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