2127 日本M&Aセンター が7月30日の大引け後、2019年3月期の第1四半期決算を発表した。
指標毎の着地状況は、下表の通りとなった。
実績 | 前期比 | 通期会社予想 | 進捗率 | |
売上高 | 59.64億円 | ▲8.2% | 267.00億円 | +22.33% |
営業利益 | 25.81億円 | ▲28.7% | 125.00億円 | +20.64% |
経常利益 | 25.92億円 | ▲28.6% | 125.00億円 | +20.74% |
純利益 | 20.40億円 | ▲24.0% | 84.60億円 | +24.11% |
営業利益・経常利益は前年同期比で ▲28%台と大きく減少、通期予想に対する進捗率も
ギリギリ20%台と大きく低迷しての着地となった。
そして、私が2016年12月に同社株式に投資後、初めての減収減益決算となった。
前期は営業利益 +58.9%、経常利益 +59.3%、純利益 +77.2%を叩き出し、同時に通期予想を何れも
14%程度上方修正しているのと比べると、隔世の感がある。
やはりこの壁は、現実には相当に高いものであった。
<1Qの活動について>
グループの更なる成長を期して、「2022年3月期までに連結経常利益 150億円を達成」という
新中期経営目標を掲げている。
1Q期間中は、当該目標の早期達成に向けて必要な施策を実行。
・コンサルタントの積極的採用に注力した結果、28名のコンサルタントの増員を達成
年間比較では、6月末現在で昨年の230名から300名に70名の増員
・要員の増員に対応し、東京本社、大阪支社を拡張増床
・中四国営業所(広島市)、沖縄営業所(那覇市)をそれぞれ4月に開設
・アンドビズ(株)(Webでの小規模事業者向けM&Aマッチングサービス)を4月に設立
・(株)日本CGパートナーズ(PMI(M&A成立後の統合)に係るコンサルティング)を4月に設立
・子会社2社の設立は、上場企業から小規模事業者までの多様な対象企業に対し、M&Aにおける
全プロセスで高付加価値サービスが可能な「M&A総合企業」への取組の一環
優秀な人材確保が厳しい環境下において、年間で30%の増員は驚異的である。
これらの人材が生み出す営業力アップにより、今後確実に受注・成約件数の増加に繋がる。
増員、増床、営業所増設という営業パワー・地域の拡大と、子会社によるWebマッチングサービス、
M&A成立後のコンサルティングサービスの始動。
トータルでM&A事業領域を大きく拡大し、今後のビジネス拡大に向けて着々と手を打っている。
減収減益という「過去」ではなく、これらの結果生じる「未来」を見据える事が重要である。
今期は、文字通り ”中期経営目標の早期実現に向けた投資の時期” としている。
画像出所:株式会社日本M&Aセンター 2019年3月期 第1四半期決算説明資料
<セミナーの開催>
・6月より「経営者のためのM&Aセミナー」を東京、大阪、名古屋等で開催開始
・特定業界(医療・調剤薬局、IT、食品、住宅・不動産、物流等)に専門特化したセミナーを開催
・特定テーマ(成長戦略、事業戦略に沿ったプロアクティブ型、ベンチャー企業等)のセミナーを開催
・6月に「全国金融M&A研究会」を開催し、地域金融機関の役員等48行・107名が参加
セミナーの申し込み者数は、当初想定を上回っている。
見込み客、潜在顧客は列を成して集まって来ている。
画像出所:株式会社日本M&Aセンター 2019年3月期 第1四半期決算説明資料
またその他の取組みとして、国内中堅中小企業の成長を担う社会インフラたるファンド運営を目指し、
1月に日本政策投資銀行と合弁で設立した (株)日本投資ファンド が1号ファンドを組成・投資実行した。
画像出所:株式会社日本M&Aセンター 2019年3月期 第1四半期決算説明資料
1号ファンドは菓子業界を対象として行われ、その成長とビジネスとしてのフィードバックが期待される。
今後の展開に期待したい所である。
<1Qの業績結果と今後の想定について>
減収減益は大型案件の減少が原因だが、2Qまでに挽回可能としている。
・経営成績は、四半期単位での過去最高益であった前年同四半期から減収減益
・グループの仲介件数は、173件(譲渡・譲受は別カウント)で、前期の173件と同水準
・成約件数が同水準に留まり、大型案件が減少した事が減収減益の主要因
・しかし、中堅・中小企業の後継者問題・先行き不安を中心とする厳しい経営環境に変化なし
・1Q期間の受託件数は大幅に増加し、2Q以降は更に堅調な案件成約が見込まれる
・よって、2Q累計の業績予想に対し40%台の進捗率だが、2Qでは充分に達成可能なものと判断
四半期決算における3ヶ月などという短い活動期間では、比較的金額の大きい案件の成約時期に
より、幾らでも業績は上下に振れる。
会社が想定する通り、全国の中堅・中小企業の後継者問題は逼迫している。
前述の投資効果もあり、今後の長期的なM&A成約件数は強含みで推移するはずである。
今期という ”短期” に限って見ても、まだ成約には至らない “受託件数は大幅に増加” している
という事であり、通期が終わって見れば上方での着地も十分にあり得る。
この様な短期的な結果に左右されずに、長期スパンで先を見通す事が大切であろう。
次に、これまでの株価の動きを確認してみよう。
同社株式の週足チャートおよび四半期決算における純利益の推移は、下記の通りである。
画像出所:YAHOO! JAPAN
株価は今年1月中旬に、2018年3月期・3Q決算の発表に先駆けヨコヨコ推移の 2,700円処から上昇し、
発表で一旦ピークを付けるも、その後更に上伸して実質的な上場来高値となる 3,925円を記録。
そこからまた下落するが、2018年3月期・本決算発表で再度上昇。 3,700円手前まで戻したものの
それが頂点となり、今回の発表で大きく下落して 2,700円処の振り出しに戻って来ている。
これまでの株価下落は、同業他社の減益決算・期待が高い高PER・全体相場の低迷という3要素の
相乗効果によるものであろう。
株価は年初の水準に戻ったが、前述の通り会社の中身はその時点からは子会社の設立を含め、
大きく進化している。
株価は過去を振り返るが、会社は過去を振り返る事なく成長を続けている。
後はこの事実を投資家としてどう捉えるか、だけであろう。
当社の目指す姿は、”世界No.1のM&A総合企業” である。
会社としてそれを明言しており、その理想に向かって今後も歩んで行く。
その過程で会社自身とその業績が今後成長し、その結果がマーケットに認められて株価の水準が大きく
変わる日の到来が、今から楽しみである。
今後も長期的な視野でこの類い希な成長企業と向き合い、株主としてその過程を見届けて行く。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00317]
この下落は、購入をためらっていた人らに対する天からの慈雨かもしれません。
ずいぽんさん、こんにちは。
私も正にそう思います。
気絶投資法で、放っておけばやがて実を結ぶでしょう。
キャッシュがあれば、買い増ししたい位です。
成長企業の評価は難しいですね。
数字だけの遊びですが、
PER 54 は、どれだけの成長率を期待しているのでしょうか。
3年間の利益目標が125=>150ですから、年率7.7%の成長で、54倍の株価を妥当と評価するか。
54について、年7.7%成長を3年分を割引戻せば、43倍になります。
成長率が以下の場合の成長折込み割戻しPERは
7.7% 43.2
10% 40.6
15% 35.5
20% 31.3
25% 27.6
30% 24.6
35% 21.9
7.7%成長で、割戻しPERが30倍となる、現時点のPERは、38倍
現在のPERが以下の場合の割戻しPERは、
40倍 32.0
38 30.4
30 24.0
売上数百億円株は需給でしょうけれど、
成長性をどう読むか。
7.7%で、現在の54倍は高すぎるようにみえますから、もっともっと高い成長を期待しているのでしょう。
上の計算から、現時点のPERが25倍が妥当と見ていれば、3年の年成長率は30%と読んでいるのでは?
yoshiyukiさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
確かに今のPERは説明が難しいですね。
私が投資後も今年3月まで株価はどんどん上昇し、このまま行くとどうなるのか?
と考えた時もありました。
結局今の株価は、これまで同社がM&A仲介事業の第一人者として期待され、その結果を
EPSの成長率はともかく、とにかく四半期毎に最高益を叩き出し、その延長が未来まで
投影された結果であると考えています。
なのでそれが未達となった今回は、大きく叩き売られたのでしょう。
また暫くの時間を経てマーケットが当社を信頼し、それに応える循環が出来れば
またPERも切り上がっていくものと考えています。
具体的な水準で考えるのは中々難しいですが、仰る様に予想PERから成長率を逆引きすると
年30%程度は見込んでいるのかもしれませんね。
何れにしろ私は、同社の予想PERはその水準を気にせず保有を続けて行こうと考えています。