投資方針

投資銘柄をどの様に決定するか

投資銘柄選定の続編について記載する。

前回、投資候補銘柄の情報はどこから仕入れるか?(記事 No.00091)において

”株式関連のWebサイトや投資雑誌、個人ブログも見て参考にはするが、主軸は会社四季報である。”
”会社四季報で良いと思う銘柄を見付けたら、その会社のWebサイトにアクセスする流れである。”

と記載した。

そこで今回は、私が行っている会社四季報での投資対象候補銘柄の選定ポイントについて記載してみたい。

尚、事例は入手できる画像の関係で 7203 トヨタ自動車 となっているが、実際に私がこの銘柄を
買う事は無い事を、初めにお断りしておく。


画像出所:東洋経済

会社四季報での着眼箇所は、概ね画像の各枠内の記述内容である。

会社四季報は、コンパクトな紙面に必要な情報が分かり易いレイアウトで記載されており、
これだけである程度の判断が出来る優れものである。

各枠内の項目について、上から順・右から順に記載する。

1.株価指標より 【ちゃいろ枠】

<PER>
投資する時点で、今期・来期の予想PERが極端に高くない方が良いのは当然ではある。

しかし、この数字は業種や注目度、業績推移、上場する市場、優待人気等により大きく異なるため、
参考程度としている。

特に直近IOP銘柄の場合は、50倍以内を目安としている。

2.株価チャート 【ちゃいろ枠】

市販本版では約4年の月次チャートについては、下記の視点で見ている。
 ・上下の髭が長く、全期間狭いボックスで推移の形でない事
 ・一時的に急上昇・上髭の後、急落する形でない事
 ・出来高が極端に少なくない事

理想は、チャートに極端な凹凸が無く一定以上の出来高があり、業績は毎年アップしているが
ボックスや下落しているものとなる。

3.業種・証券コード・社名より 【ピンク枠】

<業種>
業種名で、好みの業種を重点的に見ている。 サービス、情報・通信が好みである。

小売りはどうしても割高に思えてしまい、中々手が出ない。

しかし人気があるため上がりやすく、持たざるリスクを抱えている。
検討しなければいけないと思ってはいるのだが。

<シェア>
市場をどの位押さえているのかは確認したいので、シェアに関する記述は確認するポイントである。

<売上高利益率>
部門毎の売上高比率と、その利益率を確認する。
特に、過半数を占める事業の利益率が高い事が理想となる。

業種により開きがあるが、情報・通信業は多額の設備投資が不要であり利益率が高い傾向がある。

また、サービス業の中でもコンサルティング、特にM&A仲介は利益率が非常に高く、好みである。

4.業績予想記事・材料記事 【あか枠】

今期・来期の業績状況とその事由、今後の想定、配当予想の推移、今後の展開、新たな投資や進出、
提携やM&A、中期経営計画の概要等、現状と今後の想定を俯瞰できる単語や数字に着目している。

これらの記載から、会社が今後の成長をどの様に考えているのかを想像する。
成長を明確に目指していると思えれば、投資対象候補となる。

5.株主・役員・連結会社より 【あお枠】

<大株主>
下記が大株主として記載されているのが理想である。
 ・役員
 ・名称から役員の所有と思われる会社
 ・自己株
 ・従業員持株会

これらが記載されている会社は、株価を意識した経営を行い、また株主還元にも積極的である可能性が
高いと判断しているためである。

またIPO後間もない会社の場合、VCの保有割合が多くない事もポイントとなる。

<株主構成比率>
外国人(個人・法人)の持株比率が少ない場合、今後増えてくれば株価上昇に繋がる可能性がある。
反対にいつまでもゼロであれば、上昇が見込めない。

既にある程度の比率がある事が理想であるが、IPO銘柄の場合は先行して投資し後から買ってくれれば、
大きな成功に繋がると考えている。

投資信託も同様である。 後から投資してくれれば、美味しい目に合える。
この様な銘柄を是非、探し当てたいと思う。

浮動株はもちろん少ない方が良いが、発行済株式数と共に極端に少ないと流動性低下に繋がるので、
ある程度の割合は必要である。

<連結会社>
情報としては確認するレベルである。

但し、上場して何年も経っているのに記載が無く、業績欄が単独決算の会社は成長意欲が無いのかな?
と勘ぐってしまう。

6.株主・財務・キャッシュフロー 【みどり枠】

<株式>
投資時の発行済株式数は、当然少ない方が良い。
IPO直後銘柄は 500万株以内、それ以外でも 2,000万株程度までが理想である。

PF銘柄で投資時にこれらを大幅に上回った銘柄もあるが、大きな成長を享受するには、株式数および
時価総額が少ない企業から選ぶのが原則であると考えている。

例外はあるが、あまりにも大型の株や日経平均採用銘柄は除外している。 そして、出来れば貸借銘柄
では無い方が良い。 空売りの存在は、株価推移を複雑にするだけである。

株主優待の有無は、特に考慮しない。 優待情報から逆引きで銘柄を探す事も無い。
勿論、投資後に新規で優待制度が付けば、それはそれで嬉しいが。

<財務>
以下を条件としている(IPO直後銘柄の場合を除く)。
 ・自己資本比率が 30%程度以上である事
 ・利益剰余金がマイナスでない事
 ・有利子負債が利益剰余金や現金同等物と比較して極端に多くない事

書くまでもないが、自己資本がマイナスでない(債務超過でない)のは大前提である。
その様な高いリスクの投資をする余裕は無い。

<最高純益>
最高益を達成した年があまりにも昔の場合、注意を要する。
成長株かどうかの分かれ目となる場合もある。

<キャッシュフロー>
下記を確認している。
 ・営業キャッシュフローが複数年に亘りマイナス(流出)でない事
 ・現金同等物が極端に少ない年が無い事

キャッシュフローは企業活動の結果であり、その結果である現金同等物の額は、企業の存続に
重要な影響を与える。

幾ら利益を上げていても、その日の手形を決済出来なければ、企業は倒産してしまう。
いわゆる黒字倒産である。

設備投資や企業買収など、一度に多額の費用が発生する場合でも3つのキャッシュフローの結果が
マイナスとなり、その結果保有する現金が底を付く様な事が無い様にしてもらわないといけない。

7.資本異動・株価・四半期進捗率・格付・業種・比較会社より 【きいろ枠】

<資本異動>
下記を確認している。
 ・むやみ矢鱈と増資を行っていない事
 ・株式分割の状況
 ・株式消却が行われているか(理想)

自己株式の消却が行われていれば、株主還元意欲のある会社と判断出来る。

<比較会社>
投資対象候補となる企業を見付けた場合は、比較会社のページも確認している。

8.本社~販売先より 【くろ枠】

<拠点>
支店や事務所、拠点、センター、倉庫、工場などの数や所在地により、現在の展開状況やその規模
のイメージを捉えている。

<従業員>
連結・単独の従業員数で規模を、年収で儲かり具合のイメージを捉えている。

<証券>
どの市場に上場しているのかも重要である。
地方市場の単独上場銘柄は、相当の魅力がなければ対象とはしていない。

9.業績 【むらさき枠】

最も肝心の業績である。下記の事項を重要視している。

 ・売上高が年々増えている事
 ・出来れば、純利益まで年々増えている事(理想)
 ・純利益/EPSに応じて配当が増えている事(無配銘柄を除く)
 ・予想配当利回りが適切な範囲で高い事(無配銘柄を除く)

利益の源泉となる売上高に伸びが無かったり、年毎に大きくバラツキがある企業は成長株とは言えない。

PF銘柄は、中には前年と微増か微減のものもあるが、それでも複数年単位ではなだらかに増えている。

例えば、PF銘柄である 6029 アトラ は純利益が伴わず、目下の株価は低迷している。
しかし売上高は、毎年確実に増収を続けている。

純利益が伴わないのは、先行投資のためである。
従って、これらの投資がやがて実を結べば、株価は今とは違った位置になると考えて投資を続けている。

勿論、売上高/営業利益/経常利益/純利益と全ての指標で毎年増額となっているのが理想ではある。

そして有配銘柄については、配当性向が妥当な範囲であり、利益の増額に応じて配当額も増えている
ものを対象としている。その際、増配後も配当性向が上昇しなければ一番良い。

中には年々業績が上がり、且つキャッシュリッチなのに増配せず配当性向が異常に低い銘柄もあるが
この様な銘柄は投資対象とはしていない。

勿論、IPOから日の浅い銘柄については必ずしも当てはまらないため、ある程度は今後に期待して投資
している側面もある。

以上の通り、会社四季報は私に取って、重要な投資ツールとなっている。

これらの情報を全体的に勘案し、同業他社と比較して有利だと判断出来れば予算の範囲内で投資対象の
候補となる。

候補となれば、次のステップである「その会社のWebサイトにアクセスする」となる。
これについては、後日別の記事として記載したい。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00101]

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管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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