そーせいグループ

4565 そーせいグループ 株価は波乱の展開、今後どうなる?

4565 そーせいグループ の株価が大きく動いている。

 ・19日:ストップ安大引比例配分
 ・20日:ストップ安大引比例配分
 ・21日:8.19%上昇

<これまでのIR>
 ・5月10日の大引け後、2018年3月期の本決算を発表。
  結果は、純利益が ▲26.54億円と赤字で着地。
  また同時に、6月末基準での株式4分割と決算期の変更(3月→12月)を発表。

 ・5月16日の朝、監査証明を行う公認会計士全2名を変更、所属する監査法人も変更。

 ・6月4日の大引け後、執行役の辞任と新たな取締役会候補者7名の内、1名の取り下げを発表。
  アンドリュー・オークリー執行役副社長CFO(最高財務責任者)が一身上の都合で辞任し、
  定時株主総会で予定していたマイケル・ヘイデン取締役候補者の選任議案を取り下げた。

 ・6月18日の朝、一部役員による自主的な報酬返上を発表。
  田村眞一取締役会会長 兼 代表執行役、ピーター・ベインズ取締役 兼 代表執行役社長 CEO
  がそれぞれ6ヶ月間、月額報酬の 20%を返上。

 ・8月9日の大引け後、2018年12月期・1Q決算を発表。
  結果は、純利益が ▲15.68億円と赤字で着地。

決算期の変更と公認会計士の変更は、グローバルな観点のためとしている。

株式分割は、株価の下がっているこのタイミングで何故行う必要があるのかはわからない。
筆頭株主が個人投資家である事と、何か因果関係があるのだろうか。

また各決算で最終赤字が続く中、会社はグローバルな活動に向けた体制作りを強化。
一部役員による自主的な報酬返上も実施し、懸命に会社を支えている。

その様な状況の最中、副社長CFOであるアンドリュー・オークリー氏が突如辞任した。
同社は2017年1月に同氏を選任、2月1日から就任している。

 ・ロンドン・ビジネス・スクールにて MBA を取得した豪国公認会計士
 ・幅広く多様なファイナンスの経歴を有する
 ・Actelion 社(スイス)、Novimmune 社(スイス)、Vectura 社(英国)などの複数の
  上場バイオベンチャーに14 年以上にわたり CFO を歴任

という輝かしい経歴の持ち主であったのだが。

尚この時も今回同様、一身上の都合により執行役副社長CFOを辞任した虎見英俊氏の後任として
選任している。

一体、社内で何があったのだろうか。
単なる一身上の都合、とはとても思えない。

株価はここまでの決算結果と各IRにより右肩下がりを続けていたが、今期1Q決算後に下げた後は
アク抜けしたのか大きく上昇し、最初のレベルに戻っている。

この当たり、やはり投資家の期待が大きく並みの銘柄ではない。

そして迎えた、9月18日の大引け後。
問題のIRが発表された。 下図は、その一部である。

「ムスカリン M1作動薬HTL0018318に関するお知らせ」と題したIRである。
以下は、その要約。

 ・HTL0018318は、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(DLB)、およびその他の認知症患者
  における認知障害に対する新治療候補薬で、臨床試験段階にある選択的ムスカリンM1受容体作動薬。

 ・Allergan社は、サルを対象にした長期毒性試験で予期しない毒性所見が見出されたため詳細を把握
  するまでの間、HTL0018318の臨床開発を自主的に中断。

 ・当社の他の提携や自社開発パイプラインに影響を及ぼすものではない。

 ・既に欧州でAD患者を対象とした後期第Ⅰ相試験が完了し、安全性と有効性のデータを現在分析中。
 ・米国での第Ⅰ相試験および、日本でのDLB患者を対象とした第Ⅱ相試験を実施中。

 ・これまで米国・欧州で、健康成人・軽~中度AD患者を含む約310人に臨床試験を実施。
  試験データからは、当化合物の忍容性は良好。
 ・日本でのDLB患者対象試験で設定した、最高用量を投与した28日間の臨床試験も重篤な有害事象はなし。

 ・今回の毒性試験は、複数の用量で9ヵ月間被験薬の投与、毒性所見(希少な腫瘍)は、これまで被験者に
  投与された用量と期間を上回る被験薬投与により観察された。

 ・他の動物に対する毒性試験では、いずれの動物種も重大な有害事象は6ヵ月までの投与で観察されず
  今回見られた所見の発生原因は不明。

 ・チーフ・メディカル・オフィサー曰く「非臨床および臨床試験で示された、安全性に問題のない結果を
  考慮すると今回の結果には非常に驚いている」

 ・本所見の分析とその後の取組みのため、AD患者・DLB患者への第Ⅱ相試験は最短でも6ヵ月延期。
 ・これにより、開発タイムラインへの影響から、Allergan社からの重要なマイルストンに関する収益は
  2019年には見込まれなくなり、同年の売上収益への影響が見込まれる。

 ・本所見の調査費用は、2016年に Allergan社と締結したグローバル研究開発および商業化に関する契約に
  従って取り扱われる。

 ・2018年12月31日までの9ヵ月間は、当社の外部委託費の減少による研究開発費の減少が見込まれる。
 ・今回の臨床開発の自主的な中断が、自動的に資産・のれんの減損につながることはない。

中身については素人なので理解できるはずもないが、進捗で言うと

「欧州に続き米国や日本で患者へ次のステージとしての臨床試験を実施中で、最高容量でも問題ない」のに
「平行して長期的に行っていた動物試験で今になって想定外の希少な腫瘍が出て原因は不明」となる。

え、今更? というレベルである。

プロジェクトの上流工程で想定外の事象が出ると、その対応には非常に高い費用が必要となる。

私は製薬業界は素人で何も知らないのであるが、そもそも人間患者を対象とした臨床試験の段階でも
方や一方で動物試験を行っている、という事実に驚きである。

そこで覆ったら(今回実際にそうなった)、どうするのであろうか。
動物による試験が完全に終了した後、人間患者への臨床試験をするものだと思っていたのだ。

製薬開発は巨額の費用がかかる事業であり、慎重に段階を追って事を進めるものだと思うが意外であった。

さて、本件を受けた株価の動きである。
同社株式の日足チャートおよび四半期決算における純利益の推移と各IRは、下記の通りである。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

今回の一件で株価は2日連続で大引け比例配分のストップ安となったが、3日目は何と陽線となった。
出来高は 2,242万株と大商いである。

大引け比例配分でのストップ安が2日続いた後、3日目に切り返して2日目を上回る値動きはほとんど
見た事がない。 同社に注目している投資家が非常に多いという事もあるが、最大の要因は何か。

それはもう、株価がその後ろ盾を見失っている、という事であろう。

今回の事象は、当のAllergan社も想定外でその原因がわかっていない。
つまり誤解を恐れずに言えば、今回の結末がどうなるかを予め知り得る投資家はゼロである。

どんなに製薬業界の知識や経験が豊富な投資家であっても、現時点でその結果はわからない。

私は今回問題となった「ムスカリン M1作動薬HTL0018318」とやらのプロジェクトがどの位の事業で
どの程度の経営上のインパクトがあるのか、全く知らない。

しかし、IRにおける詳細説明のレベルや日欧米で試験を展開しているという事実から、相当のプロジェクト
である事が推察出来る。

であるとすれば、今回の問題が解明して対策が決まり、経営・業績への影響内容が明らかになるまでは
株価は今後、糸の切れた凧の様に上下にフラフラと彷徨う事になる。

現時点の同社の株式は、もはや投資家の期待や思惑だけで決まる絶対的な指標値のないものになった。

従って、これから先は相当上限に振れると考えられる。
勿論、本件に関して何らかの進展(ポジティブ、ネガティブ)があればその割合は更に増幅される。

内容のレベルによっては、相当のオーバーシュート、アンダーシュートとなって現れるだろう。
個人的には、今の状態では全く手が出せない。

これから何らかの発表が行われる前に買い向かう投資家には、大きなキャピタルゲインを手にする
チャンスが訪れる可能性がある。

しかし反面、相当の精神力、タフが要求される場面に遭遇する可能性もあるだろう。
2016年に大きな山を形成する前、最悪期には株価が相当叩かれた時期もあった様だ。

今回、そして今後の最安値は一体幾らになるのだろうか。
再びかつての成長を取り戻し軌道に乗るまでは、まだまだ紆余曲折がありそうである。

当社には必ずこの困難を乗り越えて長期的に成長して行く力があると見ているが、現時点では
それがいつになるのかは全くわからない。

今後も目が離せないが、苦しむ世界の患者のために頑張ってリカバリしてほしい所である。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00338]

コメント

  • コメント (2)

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    • 薄利多売
    • 2018年 9月 24日

    TATERUに比べればどうってことのない値動きに見えてしまう不思議。悪い意味でs安を見るのに慣れてしまいました。
    s安1回はダメでも2回した後ならとりあえず買っておけ、みたいな風潮は感じますね。そして実際に直後に反発するので、3回目のs安付近で買いを入れて、5%くらいでセット売り抜けするのはアリかもしれません。

    医療、バイオ系は突発事故みたいなのが多くて怖いですね。そーせいとは逆に7774が富士フィルムの方で良いIRが出て、明日からもしかすると上げそうです。

      • 圭壱
      • 2018年 9月 25日

      薄利多売さん、今晩は。

      ストップ安連続2回後、3回目は反発し易いのですか、へぇー驚きです。
      2回とも比例配分で出来高が少ない場合、3回目は大幅下落がほとんどだと思っていました。
      マーケットの需給は奥が深いですね。

      どの業界にも言える事ですが、特に薬害は健康被害に直結するので賠償額も大きくなるし
      リスクの大きい事業ですが、絶対に世の中に必要でもあり、製薬企業には感謝しないと
      いけないと思っています。

      7774、動くかもしれませんね。

管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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