プロレド・パートナーズ

7034 プロレド・パートナーズ 業績発表には市場との対話が欠かせない

今週10月22日、7034 プロレド・パートナーズ の株価が前日比 ▲3,000円とストップ安になった。
続く23日も ▲1,630円(▲15%)、本日24日も ▲820円(▲9%)と続落している。

同社は、2018年7月27日に東証マザーズに新規上場した企業である。
事業内容は経営コンサルティングで、料金体系を成功報酬型としているのが特徴である。

上場前に同社株式のIPOを知り興味を持ったので、同社のWebサイトを確認してみた。

すると、

・売上改善
・電気料金適正化
・BCP(事業継続)
・店舗撤退戦略
・ガス料金適正化
・エレベータ保守費適正化
・廃棄物コスト削減
・データセンターコスト削減
・ネットワーク適正化
・カーリース費用適正化
・クレジットカード手数料適正化
・複合機コスト適正化
・消耗品コスト適正化
・チラシ印刷コスト削減
・売上改善

等の実績紹介があり、それぞれ成果を挙げている事が実例として記載されていた。
多方面に対応しており、中々良い感じである。

そしてこれまでの業績推移は、下図の通りとなっていた。


画像出所:96ut.kabu

素晴らしい伸びである。 中でも今期は突出しており、利益はほとんど通期かと思うグラフである。
その後も検討した結果、チャンスがあればぜひ投資したいと考えていた。

公開時の発行済株式数は 246万株程度、マーケットからの吸収金額は 30億円程度であった。
「超」ではないが小型であり、株価は好業績を背景に勢いに乗れば大きく上昇しそうである。

一応ダメモトで、口座のある3証券に公募分を申し込んでみた。
主幹事のみずほ証券に口座が無くこの時点で論外ではあるが、当然の如く全て落選。

やはり、プラチナチケットは手に入らなかった。
公募価格は 4,250円に決定し、2018年10月期の予想EPSは213.72円、同PERは19.88倍。

初値予想は、7,000円超えが大方であった。 予想PERは 32倍を超える水準である。

作戦としては 7,000円台半ばで初値が付いた後、上下に大きく振れる中で 6,000円台を付け
そうこうしている内に一瞬、5,000円台後半になった時を狙いたいと考えていた。

口座に資金を用意し、いつでも注文を出せる状態で7月27日の上場当日を迎えた。

下図は、同社株式の10月4日までの日足チャートと四半期決算の推移である。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

初値は 7,170円を付け、概ね事前の予想通りであった。
そして当日は陽の丸坊主状態のストップ高、 8,670円で引けた。

うほ、強い。
流石に好業績であり、投資家の関心も高く上々の公開初日となった。

しかし翌日は、前日の騰げが全て帳消しになった。
その後は、8月6日に高値 9,350円を付けて4日後の8月10日より下げ始めた。

そして迎えた、8月20日。
この日は 550円ほど下落し、上場来安値を更新した。

この下げで私は安心し希望を持ち、当初の予定通り 5,000円台後半に下がるのを待つ事にした。
しかし意に反して相場の女神は私に微笑まず、翌日の底値 6,190円を機に反転。

あら、さようなら~ である。

そして 10,000円台に到達し数日調整した所で、9月13日の大引け後に会社は3Q決算を発表。
結果は、この時点で全ての利益が既に通期予想を超過するという好業績であった。

この結果にマーケットは大きく反応し、翌14日は値付かずのまま大引けストップ高比例配分。
週が明けた18日も窓を開けて 2,000円超の上昇となり、完全に雲の上の存在になった。

もう悔やむしかないが、当初の予定通り行動した結果なので仕方がない。
今回は、ご縁が無かったという事である。

IPO株への投資は、株価やタイミングを見極めるのが本当に難しい。
何れにしろ、人気のある企業の株式は清水の舞台から飛び降りないと手に入らない。

 
さて、反転後はただ指をくわえて眺めているだけであった当社株式であるが、
約1ヶ月経った10月19日の大引け後に「事件」が起きた。

当日の15時、会社は通期業績予想の修正を発表。
ここが重要なので3Qまでの実績と合わせて記載すると、下表の通りとなる。

前回予想 今回予想 差額 3Q実績 3Qとの差額
売上高 14.32億円 16.50億円 +2.17億円 14.13億円 +2.37億円
営業利益 5.60億円 6.03億円 +0.42億円 6.62億円 ▲0.59億円
経常利益 5.60億円 5.79億円 +0.19億円 6.40億円 ▲0.61億円
純利益 3.52億円 3.64億円 +0.11億円 4.42億円 ▲0.78億円

単純に通期だけで見ると、全ての指標で上方修正となっている。
修正の理由として、下記を挙げている。

 <売上高>
  一部の大型案件が円滑なプロジェクト遂行により3Qに前倒しして計上されたが
  それ以外は予定通りに進捗。 案件数の増加並びにコスト削減率が向上。

 <営業利益>
  下記費用が増加するため、前回予想より 0.42億円増の 6.03億円となる見込み。
   ・既存サービスの拡大及び新規サービスの確立のための人材投資。
   ・2018年10月に社員増員に対応する新オフィスの増設。

確かに通期の業績予想としては上方修正なのだが、3Qまでの累積実績と比較すると各利益は
全てマイナスとなっている。

つまりこの予想からは、4Q単体だけを見ると増収だが営業赤字、そして最終赤字に転落する
予想である事がわかる。

営業赤字になる主な原因を上記の修正理由の記載から推測すると、

 ・一部の大型案件が3Qに前倒しして計上された
 ・人材投資や新オフィスの増設による費用の増大

となる。 一方で3Qの決算短信と四半期報告書には、これらの事項は一切記載されていない。
つまり、会社の発表とそれを受けたマーケットの想定は

 ・3Q決算で通期予想を超過着地、しかし通期予想は据え置き
             ↓
 ・マーケットは今後の上方修正を想定し、株価に織り込む
             ↓
 ・実は売上の先食いと新たな費用があり、3Qの貯金は食い潰し更に借金だった

という流れで、投資家は完全にハシゴを外された格好となった。
こういう結果は、とても残念である。

3Q業績の発表時点でその様な事実や予定はわかっていたのだから、決算短信にはきちんと
盛り込むべきであったと思う。

この発表でハシゴを外された投資家の反応が、10月22日のストップ安である。
下図は、同社株式の昨日10月23日までの日足チャートと四半期決算の推移である。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

3Q決算発表時のストップ高と今回の業績予想修正でのストップ安で、正に「行って来い」である。

当社の成長には素晴らしいものがあり、今後も長期的に成長し株価も伸びていくと思われるが
発表の仕方や順序を誤ると、この様に投資家の信頼を一気に失いかねない。

折角期待された企業なのに、この様な事で投資家の信頼を損ねては非常に勿体ない。

会社のIRを担当する部署は、日頃からマーケットの動向に注意を払いマーケットが今何を期待して
いるのか対話をしながら、慎重な対応が求められると思う。

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管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

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