またもや、出資法違反による事件が発覚した。
加工食品のオーナー制度で多額の資金を集めていた、東京都千代田区の「ケフィア事業振興会」
という企業が 1,000億円以上の負債を抱えて破産した。
同社は通信販売会社として食品販売を行っていたが、2009年頃に干し柿やヨーグルトなどの
加工食品のオーナー制度を考案、以前からの通信販売の顧客を中心に広くオーナーを募集。
オーナーになれば、半年ほどで満期を迎えた際に10%前後の利子をつけて払い戻すなどと謳い、
全国の高齢者を中心に、広く資金を集めていた。
しかし、2018年6月にオーナー制度利用者への支払い遅延が判明、9月には東京地方裁判所から
グループ企業 27社とともに破産手続開始決定を受けている。
この時の債権者数は全国に約 3万人以上、負債総額は約 1,000億円以上に上った。
オーナー制度の内容は、例えば一口 50,000円の干し柿コースに入会する。
すると、半年後に 55,000円で干し柿を引き取ってもらうという「買戻特約付売買契約」である。
利回りは、単純に計算すれば 12%となる。
そして顧客には、必ず約束した値段で引き取るという、元本保証+利回り保証を謳っていた。
この低金利時代に、何のリスクも負わずに 12%が濡れ手に粟、驚異的ですらある。
まぁこんなもの、逆の立場で考えれば一瞬でわかる類いのものだろう。
・関連会社が生産した、賞味期限の短い古い食品を?
・アナタに売った値段より、高い値段で買い取る?
・アナタに中間マージンを払うメリットは、一体何?
グループ会社なんでしょ、直接買えばいいじゃん(笑)
いやもうお話にならない、全くの子供欺しの次元である。
つまり、ビジネス的にはどうこねくり回しても成り立たないリクツで、アナタにご奉仕します!
という甘い囁きで、善意の高齢者から資金を吸い上げ尽くしていた。
以降は、こういう事件ではもう毎度恒例、耳にタコの「自転車操業」で最後は破産である。
被害者となった高齢者の方には、何ともお気の毒様としか申し上げ様がない。
しかし一番の問題は、当局の対応の遅さである。
何故いつも、この手の企業に当局のメスが入るのが ”全てが終わった後” なのであろうか。
捜査が入るのが破産した後では、何の意味も持たないのである。
「高齢者の方、この手の詐欺には注意しましょう」とバカの一つ覚えで叫ぶだけでは、
被害者は一向に減らないのである。
どうして、この制度による募集が行われ始めた10年前に捜査の対象にならないのであろうか。
何故、10年間近くもほとんど野放し状態になってしまうのか、理解できない。
・捜査員が足りないから?
・捜査予算(税金)が足りないから?
・そもそも目を付ける事が出来ないから?
・被害額がある程度まとまらないと対象にならないから?
いまさら当事者を幾ら調べようが、破産した後では「無い袖は振れない」。
だから被害者は、泣き寝入りするしか無いのである。
これでは、被害の未然防止という観点で何の解決にもならない。
「詐欺に注意しましょう」も大事だが、詐欺を撲滅する方がもっと大事ではないのか。
これでは、「欺される方が悪い」の風潮はいつまで経っても変わらないのである。
10年前にこのオーナー制度を開始した時点で、立派な「出資法違反」である事は明白である。
すぐさま遅滞なく立件すれば、ほとんどの被害者は未然に防止出来たのだ。
この手のニュースが流れる度に、「またか、でも遅いんだよ」と臍をかむ思いである。
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[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00409]
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