アイ・アールジャパンホールディングス

東証の改革報道で 6035 IRJHD が急伸

東証が昨年11月にワーキングを立ち上げ議論を進めて来た、制度改革について進展があった。

改革案を検討する「市場構造の在り方等に関する懇談会」が近く報告書として纏め、3月下旬に
開催予定の金融審議会で東証が見直し案を説明。

4月以降も、同会議で継続的に協議する見通しとなっている。

今回の改革においては、昨年12月に現行の4市場(1部・2部・ジャスダック・マザーズ)から
3市場への再編を検討していることが明らかになっている。

かつて東証は大証と激しい市場争いを繰り返し、両取引所の運営組織が経営統合され2013年に
東証が大証の現物市場(1部・2部・ジャスダック)を統合するまでそれは続いた。

一方で大証はこれを機にデリバティブに特化した取引所となり、違う道を歩むこととなった。

この戦いの過程で東証は1部市場への上場基準を緩和するなどしたため、現在も1部市場への
上場企業数が最も多く、且つその時価総額に大きな開きがある結果となっている。

例えて表現すれば、鯨と普通の魚が同じ水槽で同居している様なものである。

市場構成についても、大証から引き継いだジャスダックと東証独自のマザーズが共存しており、
且つジャスダックはスタンダードとグロースに細分化され、違いが分かりにくくなっている。

制度の改革を進める事は、自らの発展と成長を考えた場合、良い事であると思う。

昨年10月、東証は上場する全ての株式の売買単位を100株に統一した。

これも構想から完了まで10年以上かかっているが、以前は1株、10株、100株、500株、1,000株
などが混在して分かり難く、閉口したものである。

現在までに報じられた改革の内容であるが、

日本経済新聞は、3月15日付で「東証1部企業数を絞り込み、3割減も」と報道している。

 ・東証1部上場を維持できる時価総額基準は、20億円から250億円への引上げを軸に検討
 ・現在の時価総額では、1部上場全体の3割超(約720社)が除外される計算
 ・2部やマザーズから1部に昇格する基準も、引き上げる方向
 ・中堅・新興市場は、現在の3市場から「新興」と「スタンダード」の2市場に集約
 ・2部とジャスダックの大半を統合、またマザーズとジャスダックの一部を統合

また毎日新聞は、同じく3月15日付で「最上位「プレミアム」市場を創設」と報道している。

 ・4市場を「プレミアム」「スタンダード」、「エントリー」の3市場へ再編
 ・2部とジャスダックは統合し、一般の上場企業が所属する「スタンダード」市場へ
 ・最上位市場への上場基準を引上げ、直接上場と昇格の基準を同じにするよう提言
 ・降格基準(現在20億円)も厳しくし、1部企業の数を事実上絞り込む


画像出展:毎日新聞

プレミアム市場。 制度実施後も引き続き上場を維持出来た企業には、甘美な響きであろう。
くれぐれも、上場する企業がつまらない不祥事を起こさない事を祈りたい。

 
今後であるが、3月下旬に東証が見直し案を説明後も継続して協議される予定となっているが、
中々一筋縄では先に進まないと思われる。

まぁ、それはそうであろう。

今までは緩やかな基準によって「どうぞウェルカム」で1部に上場出来たものが、いきなり基準を
上げられて降格される企業が続出するのである。

1部市場から降格ともなれば、当然その枠を投資対象としたファンドからは外される訳であり
それは即ち、株価の下落を意味する。

該当する企業の株主からは、今から東証に対する恨み節が聞こえてきそうである。

しかしこの30年で上場社数が倍増して混然化が著しい1部市場が示す通り、徒に上場企業数を
追い求める時代は、もう過去のものとなりつつある。

これからは、真に必要とされ且つ相応しい企業だけが上場を許される国際市場に自らその姿を
変えていく必要がある。

とは言え、そこには理想と現実がある。 試しに自分のPF銘柄について確認してみた。
1部の上場維持基準を時価総額 250億円とした時に、どうなるかである。

 ・○       2124 JAC リクルートメント
 ・○       2127 日本M&Aセンター
 ・○       2317 システナ
 ・○       3817 SRAホールディングス
 ・○       3844 コムチュア
 ・○       4792 山田コンサルティンググループ
 ・○       6055 ジャパンマテリアル
 ・○       6080 M&Aキャピタルパートナーズ
 ・○       6539 MS-Japan
 ・○       8876 リログループ
 ・△ 280億円 4746 東計電算
 ・△ 315億円 6035 アイ・アールジャパンホールディングス
 ・△ 313億円 6157 日進工具
 ・× 208億円 2428 ウェルネット
 ・× 195億円 3763 プロシップ    
 ・×  70億円 6032 インターワークス
 ・× 131億円 6087 アビスト

全17銘柄中、安全圏は10銘柄、アウトは4銘柄、余裕が無いのが3銘柄となった。

アウトの4銘柄
 ・2428 ウェルネット:結果が急がれる。 時間がないぞ、頑張ってくれー。
 ・3763 プロシップ:株価1,700円、PERは今の 18.8倍が 24.6倍まで行けばセーフだぞ、頼む。
 ・6032 インターワークス:こちらも急いでおくれ。 結果を出しておくれー。
 ・6087 アビスト:何故買われない? 株価2倍高で上場来高値で 6,600円を目指してくれ。

 
6035 アイ・アールジャパンホールディングス が余裕はあまりないが、心配はしていない。
前述の日本経済新聞の記事には、合わせて「英文開示も義務」と報道。

 ・1部企業には、四半期決算での英文開示も義務づけ
 ・英文開示を実施している企業は東証1部で約35%と低く、今まで海外投資家のハードルに
 ・コーポレート・ガバナンス(企業統治)が機能しているかも重視

正に、ドンピシャのストライク。
何れも今後の、同社の仕事増大に直結する内容である。

そして今週、同社の株価にマーケットの反応が現れた。
同社株式の日足チャートおよび四半期決算における純利益の推移は、下記の通りである。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

株価は前述の報道により市場が再編され、上場基準や降格基準が厳しくなり、企業に対する
コーポレート・ガバナンスも厳格化されるとの観測や期待で買われ、上昇した。

当然期待だけには終わらず、今回の東証改革は時間が掛かるかもしれないが最終的には
世界の投資家を呼び込む日本一の市場にする事が目的であり、そのために同社は必要である。

従って、同社の時価総額が 250億円を下回る状態が続く可能性は低いと考えている。

 
バブル崩壊を経て長らく低迷した日本株市場と、これまでの拡大志向をようやく方向転換して
本来進むべき道に視点を向け始めた東京証券取引所。

短期的には経営者や投資家の痛みを伴う今回の改革を最後までやり遂げ、外国人投資家を
呼び込み魅力ある、真の国際市場に変貌していく事を願っている。

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コメント

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  1. はじめまして。
    まさまさと申します。

    いつも独自な銘柄分析いつも参考にさせていただいております。 
    明快かつチャートや資料を分かりやすくまとめていてブログを書く参考にしております。

    このたびお願いがあるのですが、勝手にリンクを張らせていただいてもよろしいでしょうか?
    新しい知見をどんどん広めていきたいのですが、リンクを禁止している場合はすぐに消すのでご多忙とは思いますが、返信よろしくお願いいたします。

      • 圭壱
      • 2019年 3月 24日

      まさまささん、初めまして。

      ご訪問とコメント、ありがとうございます。
      ブログも拝見させて頂きました。
      非常に細かく丁寧に解説されており、参考になりますね。
      私と保有銘柄が同じものがありますね~、共に成長を祈りましょう。
      リンクは構いません、こちらからも付けさせて頂きました。
      今後とも、宜しくお願い致します。

    • まさまさ
    • 2019年 3月 26日

    圭壱さん

    ご返事ありがとうございます.

    ともに成長を祈りましょう!

    相互リンクしていただいて大変うれしいです.

    よろしくお願いいたします。

管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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