投資全般

株式投資で取れるリスクはどこまで? 自分の立場をわきまえる

私たち個人投資家が投資を行う上で、最も重要な事は何であろうか。

答えは色々とあるだろうが、私は結局は次の2点に回帰すると考えている。

 1.リスクの程度は適切な範囲内か?
 2.リスクに見合うリターンが見込めるか?

上記は投資行為における永遠のテーマであり、1を満たした上で2を追求するのである。

投資家は上記をクリアするために日々様々な方法を試し、自分なりの答えや手法を確立
しようと切磋琢磨している。

投資対象を「国際分散投資」と呼ばれる日本・外国の株式・債券の4つに分散したり、
投資する時期を分散したりしている。

また個別銘柄を深く分析したり、経営者に直接会って生の声を聞いたりしている。
そうやって「これは」という確証を得た銘柄について、投資割合を高めたりする。

アセットアロケーションという用語があるが、これは少し噛み砕いて「投資資産クラス」
「投資銘柄」「投資割合」「投資時期」の4点にどう対応するかであると理解している。

 
さて、個人投資家は皆それぞれ自分の置かれた立ち位置や環境、年齢等が異なる。
そして当然、それぞれの環境に応じて投資の目的や目標も異なってくる。

若くして億万投資家を目指したい人もいれば、地道な投資を継続して行い、定年退職時に
ある程度の老後資金となっている事を目標にする人もいる。

それぞれの投資の目的や目標によって、投資方法が異なるのは当然である。

私自身はブログの名の通り、老後は経済的自由人となってお金の心配をしなくても良い
「プチ富裕層ジジイ」の仲間入りを果たしたいと思い、株式投資を実行している。

しかし悲しいかな、既に人生は折り返し地点を通過して自宅ローンもあり、妻子もあり
これから高校・大学と人生で最もお金の掛かる時期を迎える。

従って、投資によって勿論資産は増やしたいものの、大きなリスクは取れない。

上記の1と2は、結局は投資家それぞれの環境や目標に応じたバランスだと思っている。

従って環境さえ許せば、大きなリターンが見込めるのなら過剰なリスクも場合によっては
ありだと考えている。

例えば20代独身で実家に住み、親も経済力があるのなら1銘柄への集中投資もありだろう。

ここで大きく成功すれば、今後に向けた大きな「雪だるま」を手に入れる事が出来る。
つまり今後の投資を、非常に余裕を持って行えるのだ。

逆に失敗して全財産を失っても、直ぐにリカバリーは可能であろう。

しかし結婚して妻子がいたり、マイホームを買った後であったり、40代以降の場合には
その前提が変わってくる。

投資金額自体も20代の頃とは違い、ある程度大きな金額となるだろう。
もしも失敗してマーケットから退場という事にでもなれば、復帰するのは容易ではない。

そして最も慎重に行う必要があるのが、退職金を元手にした投資である。
この場合は、増やす事よりも減らさない事が何よりも大切になる。

如何にリスクを極力抑えた状態で、ある程度のリターンを見込める投資を実行していくのか
を試される場面であろう。

 
それでは、株式投資において最もリスクを取った状態とはどの様な時であろうか?

株式投資で極端にリスクを取るといえば、下記がある。

 ・1銘柄への集中投資
 ・激しく値が動く銘柄への投資
 ・信用取引の駆使

これを全て網羅して実行した場合が、最もリスクを取った状態であるといえる。
 
以下に、実例を挙げてみよう。
今年の1月末から2月初めに急落し、東証マザーズ指数を動かした 4592 サンバイオ である。

同社株式の急落中に、関係するブログを検索してみた。
すると、同銘柄に信用2階建てで1点集中投資をしていた投資家のブログを見付けた。
(このブログは、既に3月に閉鎖されている)

彼は、同社株式が急落する直前の1月29日まで 9,000万円以上の評価資産を有していた。

しかし株価の急落により全資産を失い、借金生活になったというのである。
一体、何が起こったのであろうか。

4592 サンバイオ は、中枢神経系疾患領域の再生細胞薬を開発する企業である。

 ・2001年に米国シリコンバレーで SanBio Inc.を創業
 ・2013年に日本法人を設立、2015年4月に東証マザーズに上場
 ・2018年1月時点の従業員数は 8名、SanBio Inc.は 32名

私には苦手領域である、いわゆるバイオベンチャーである。

業績は、2015年1月期は黒字だったが以降は今期まで全て赤字、2020年1月期も赤字予想である。
目下、外傷性脳損傷薬としての再生細胞医薬品「SB623」の治験を進めている最中である。

それでは、株価の動きを確認してみよう。
下記は、同社株式の日足チャートの推移である。


チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY

昇りの階段と下りの階段が、極端にくっきりと分かれたチャートである。

株価は2018年10月末までは 3,000円 ~ 4,000円程度で推移していたが、11月1日の大引け後に
下記のIRが発表された。
(※一部抜粋、赤線は筆者による追記)


画像出所:サンバイオ株式会社

SB623 の外傷性脳損傷を対象にした日米グローバル第2相試験で、主要評価項目を達成したという
解析結果を得たという内容である。

私はこの事実が開発の進捗上、どれ位凄いことなのかは理解していないが相当な事なのであろう。

株価は発表当日の 3,685円 → 4,385円 → 5,090円 → 6,090円 → 7,090円と大幅上昇。
上げ幅は 700円 → 705円 → 1,000円 → 1,000円と、4連続ストップ高である。

以後は怒濤の如く上昇を続け、頂上は 12,730円でこの時点の時価総額は 6,300億円以上となった。

時価総額だけで比較すれば、現時点の 4536 参天製薬 と同等のレベルである。

参天製薬は今期の予想売上高 2,370億円、従業員数は 6,000名弱である。
売上高 10~30億円程度、従業員数 40名足らずのサンバイオが、同社と肩を並べていたのである。

如何に投資家の期待が高く、実力以上に大きく買われていたのかがこの比較からわかる。

そして彼は、この時の株価 11,300円程度の時点で自身のブログに評価総額は 9,000万円を超える
金額であることを、連日記載していた。

ブログには同社株式への信用2階建てによる1点集中投資で、億万投資家を目指す旨が書かれていた。

保有株数の記載はなかったが、株価 11,300円で評価総額が 9,000万円であれば、およそ8,000株
程度を保有していた計算になる。

また証券会社名や購入時の株価は記載されていなかったので、推測してみる。

 ・委託保証金としての現金はゼロ
 ・代用有価証券としての掛け目を60%
 ・現物保有株数:2,700株
 ・信用買建株数:5,300株

ブログにはかなり高い値段になっても買い続けた事が記載してあり、もしかすると平均購入株価は
それなりに高い値段であったのかもしれない。

私は信用取引は1回も経験した事がなく、どの証券会社も口座すら開設していない。

その私からすると、東証マザーズのバイオベンチャー株でも代用有価証券として受け入れ、且つ
2階建て取引すらも許可している証券会社が存在する事に、今更ながら驚きを隠せない。

彼は、明日の値動きがIR次第でどうなるか全く読めないバイオベンチャー株を担保に、同じ銘柄を
信用取引でも目一杯買い建てしていた。

高値の期間中、夜はぐっすりと眠れていたのであろうか。

もし私なら、とてもじゃないが気になって眠れないだろう。
少なくとも信用枠だけは返済売りして手仕舞いしなければ、安眠できそうもない。

信用2階建て取引を実行していると証券会社から注意の電話が掛かって来ると言われるが、恐らく
彼にも同様の電話が掛かってきていたに違いない。

しかし彼は急落後にブログで、あと少しで1億円達成という誘惑に勝てなかったと書いている。

そして迎えた、1月29日の大引け後。下記のIRが発表された。
(※一部抜粋、赤線は筆者による追記)


画像出所:サンバイオ株式会社、大日本住友製薬株式会社

今度は逆に、SB623のフェーズ2b臨床試験で主要評価項目を達成できなかったという解析結果だ。

私はこれも同様に、開発の進捗にどの程度インパクトを与えることなのか理解出来ないが、やはり
同じく凄い事なのであろう。

株価は発表当日の 11,710円 → 8,710円 → 7,210円 → 5,710円 → 3,710円と大幅下落。
下げ幅は 3,000円 → 1,500円 → 1,500円 → 2,000円と、4連続ストップ安である。

しかも4日目は、値幅制限を拡大する特例処置がとられている。

彼は、ストップ安の途中で全資産が溶け、借金生活になることが確定したとブログに記している。

5日目にはようやく比例配分を脱して、53,568,200株という空前の出来高を記録している。
彼の保有株も、この時証券会社によって全て強制的に決済させられたのであろう。

投資した資産が一時は 9,000万円という評価金額になったものの、最終的にはマイナスに転じた。
そしてその金額は、普及クラスの新築ファミリーマンション並みであると書かれていた。

田舎のでは無いとも書かれていたので、3,000万円位であろうか。
何れにしろ、大きな金額である。 文字通り、家が一軒買えたのである。

そして一番の問題点は、彼が独身ではなく妻子がいる身であったという事である。
私にはとても取れないリスクであり、普通に考えれば同様の立場では取らざるべきリスクであろう。

全てが終わった後、ブログには証券会社の担当者と今後の借金返済についてのやり取りを行い、また
今後の返済計画について、担当の弁護士を付けた事が記されていた。

何事もそうである様に、やはり投資においても身の丈をわきまえた行動が必要であろう。
ブログは閉鎖されてしまったが、彼の再起と奥さんやお子さんの幸せを祈らずにはいられない。

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[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00428]

コメント

  • コメント (2)

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    • 薄利多売
    • 2019年 3月 24日

    サンバイオの件は話題になったので私も同じブログを見ました。資金管理だけをしっかりしていれば酷い事にはならない、ことの反面教師の典型ですね。
    私は初心者時代に幸いにして①資金管理②相場心理学③チャート、という基本を知ったので未だに退場せずに済んでいます。yahooファイナンス掲示板で、煽り口調なのに初心者向けなアドバイスをくれる人や、株の学校の講師の過激な表現のブログなど、今でも参考にしています。逆にtwitterなどは参考にならなかったり惑わされたりする内容が多いかなと感じます。

    信用取引に関しては、楽天証券ではセット注文で約定値の+100円売りなどが出来て便利なので使いますが、レバレッジは掛けませんね。常に現引き可能額の取引です。

      • 圭壱
      • 2019年 3月 24日

      薄利多売さん、こんにちは。

      相場の世界は魑魅魍魎、真実ともわからぬ怪しい情報が跋扈していますからね。
      自らの物差しを持つ目を養い、選択していく力を身に付けないと忽ちプロに
      やられてしまうでしょう。
      掲示板も、結構貴重な情報も埋もれているので私も活用しています。
      特に、ブログのネタ集めには最適です(^^
      信用取引に関しては、一生近寄り難い存在のまま終わりそうです。
      最も、短期で明らかに買われすぎの銘柄をレバレッジを掛けずに
      単に売りから入りたい時は、便利かもしれませんね。

管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

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