6161 エスティック が4月25日の大引け後、2019年3月期の本決算を発表した。
指標毎の最終着地状況は、下表の通りとなった。
実績 | 前期比 | 通期会社予想 | 最終着地率 | |
売上高 | 66.12億円 | +32.8% | 60.73億円 | +108.88% |
営業利益 | 17.34億円 | +38.4% | 16.23億円 | +106.84% |
経常利益 | 17.43億円 | +38.2% | 16.59億円 | +105.06% |
純利益 | 11.35億円 | +32.3% | 10.86億円 | +104.51% |
最終着地は各指標とも前期比で 30%以上の増収増益となり、通期会社予想を超過。
2010年3月期より、9期連続で最高益を更新した。
しかし、市場のコンセンサスは
売上高:68.50億円、営業・経常利益:18.00億円、純利益:12.00億円
とハードルが高く、純利益ベースで 94.58%の進捗率となり到達する事は出来なかった。
以下、市場毎の状況。
1.国内市場
自動車産業は、各社とも積極的な設備投資が継続し前年に続いて販売は堅調に推移。
ハンドナットランナ、ナットランナ、ネジ締付装置の主要3品種の需要が拡大。
この結果、前期及び当初の予想を大きく上回る結果となった。
2.米国市場
市場環境は概ね堅調な状況だが、日系及び米系自動車メーカーで特定販売先への
依存度が高く、受注が見込みの大口案件の先送り等が発生。
このため、販売高は当初予想を下回った。
3.中国市場
自動車産業の設備投資は工場増設や生産設備の自動化が増加し、当初予想を上回り
ハンドナットランナ、ナッ トランナ、ネジ締付装置の主要3品種ともに堅調に推移。
4.その他市場
韓国は自動車産業の一部で設備投資が再開、製造ラインの増加などによりナットランナ
の販売が大幅に拡大した。
タイ、カナダ、インドなどでナットランナやハンドナットランナの販売が堅調に推移。
米国との貿易摩擦問題が長引く中国において、自動車業界の設備投資が増えた事が大きく
米国での減速を補う結果となったと思われる。
国内の好調さに加えて韓国やその他の国もマイナス要因がなく、全体を押し上げた。
マーケットの期待には届かなかったものの、十分な結果を残したと思う。
また同時に期末配当は従来予想 83円から増額し、86円で株主総会に付議される事を発表。
増配を続けており、今後も期待したい。
また、同時に発表した2020年3月期の業績予想は下表の通りとなった。
市場のコンセンサスも併記した。
今期予想 | 前期比 | コンセンサス | 前期比 | |
売上高 | 71.41億円 | +8.0% | 73.00億円 | +10.4% |
営業利益 | 17.62億円 | +1.6% | 20.00億円 | +15.3% |
経常利益 | 17.88億円 | +2.5% | 20.00億円 | +14.7% |
純利益 | 12.44億円 | +9.5% | 14.00億円 | +23.3% |
会社予想は前期比で 8.0%増収、純利益ベースで 9.5%増益と控えめなものとなった。
コンセンサスは 10.4%増収、純利益ベースで 23.3%増益と相変わらず強きである。
今期の見通しとして、
1.国内市場
米中貿易摩擦の今後の展開によって景気減速懸念は捨てきれないが、基本的には
緩やかながらも景気回復傾向で推移するものと推測。
自動車産業も前年程の勢いは無いものの、引き続き積極的な設備投資の継続を想定。
ハンドナットランナを中心に更なる売上拡大を見込む。
2.米国市場
中国やメキシコ等との貿易摩擦等が懸念されるが、引き続き緩やかな景気回復傾向。
米国現地法人の人員増強や、ミシガン州への2拠点目の販売拠点の展開を予定しており
販売・サポート体制の強化により、前年を上回る売上拡大を見込む。
3.中国市場
景気減速傾向の中、現地販売代理店における顧客サポート体制を拡充し、ハンドナット
ランナ及びサーボプレスの販売を強化して行く。
全体としてはやはり、貿易摩擦問題による影響や業界全体の減速を鑑みた結果なのであろう。
その様な中でも米国には2つめの販売拠点の設立を予定しており、定着に向けた投資を継続。
米国内での成長に向けた手綱は緩めず、今後もその強化が予想される。
また期末一括の配当は 8円増配され、 94円の予想となった。
2019年3月期末の1株当たり純資産額は、前期の 1,965円から 2,304円に 17%程度増えた。
継続的な増配と共に、同社株式の価値は着実に高まっている。
次に、決算発表を受けた連休前の最終日である4月26日の取引結果である。
下図は、同社株式の日足チャートと四半期決算における純利益の推移。
チャート出所:YAHOO! JAPAN by WORKS TECHNOLOGY
株価は決算発表日に向けて 7,000円ラインから上昇し、発表当日は 7,350円に。
しかし26日は ▲9.52%、▲700円と大幅に下げた。
安値は 6,280円まであり、2018年12月18日に付けた 6,070円に次ぐ2番底を記録した。
前期が大幅増益とはいえコンセンサスには届かなかった事、今期予想が控えめであった事で
マーケットに失望された様である。
しかし、結果としてはこれで良かったのではないかと感じている。
今期予想に満足出来ない投資家が去った事で、残る投資家による持続と今後の継続的な新規の
見直し買いが期待出来る。
今期会社予想EPSは 457.52円であり、株価が 7,350円に戻っても予想PERは 16倍に過ぎない。
連休明けの相場のセンチメントにも左右されるが、この窓は早晩埋めて来るのではないかと
個人的には考えている。
会社が長期的に成長を続けていても、四半期毎の決算結果により株価は上下に振れる。
下に振れた時に仕込めるか否かであろう。
自動車業界は正に大変革期であり、完全なる電気自動車&自動運転車のゴールに向かって
着々と進んでいる。 従って、変革に必要な投資はこれからも確実に実施される。
ねじ締め機という分野で業界を支える同社も、その恩恵を受ける事は間違いない。
自動車業界以外への拡大も含めて、今後もその成長を確実視している。
今回の様に株価がギャップダウンしようが、引き続き長期投資で臨む予定である。
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[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00436]
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