これまで、保有するワンルームマンション区分1部屋の売却決断と実施完了までを記事にした。
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今回は、本物件の新築投資から売却までのトータル損益について振り返る。
記事に当たっては可能な限りの項目を抽出したが、多少は洩れている可能性もある。
また、金額は何れも概算である。
全て私が実行した、現実の投資結果である。
1.物件購入時の状況
本物件はバブル崩壊から4年後となる、1994年の新築販売時に購入。
購入時の状況は、下表の通りである。
金額 | 詳細 / 説明 | 備考 | |
購入価格 | 1,620万円 | 別途諸費用 67万円 | |
頭金 | 370万円 | 購入価格の 22.8% | 諸費用は別途現金で支払い 諸費用込価格の 25.9% |
ローン | 1,250万円 | リアル銀行 変動金利(当初 2.9%台) 有担保 |
抵当権設定 ・当物件 ・実家(マンション・築7年) |
物件価格の 2割強程度の頭金を用意し、残りは銀行でローンを組んだ。
大卒時に口座を開設し給与振込先でもある銀行にローンを申し込んだ所、銀行は
本物件以外にも、追加で担保を求めてきた。
当時の私は20台後半で勤続年数は数年程度であったが、それでは信用力が不足して
いたのか、或いはネット銀行などまだ無い時代で強きの営業姿勢であったのか。
そして金利は変動金利を選択したが、開始時は 3%近くであった。
返済明細を破棄してしまったので正確な数字は忘れたが、以降は 3%台に乗せる事はなく
19年後の2013年に一括返済するまで、最終的には 2.2%程度まで緩やかに下落した。
2.年間キャッシュフロー
次に、投資期間中のキャッシュフローについて。
年間のキャッシュフローの状況は、下表の通りである。
金額 | 詳細 / 説明 | 備考 | |
家賃収入 | +84万円 | 月額 70,000円 × 12ヶ月 (2017年より月額 65,000円) |
税還付金 | +9万円 | 25年間の年平均額 最大:260,000万円 最小:0万円 |
ローン返済 | ▲57万円 | 月額 47,000円 × 12ヶ月 | 2013年に一括返済するまで |
維持費 | ▲8万円 | 月額 6,700円 × 12ヶ月 (2005年より月額 12,500円) |
管理費、修繕積立金 |
税金 | ▲4万円 | 1995年(2年目):43,000円 1998年(5年目):40,000円 2003年(10年目):34,000円 2008年(15年目):30,000円 |
固定資産税、都市計画税、 所得税 |
合計 | +24万円 | 1995年(2年目) | 下記は含まず ・+礼金収入 ・+契約更新料収入(2年毎) ・▲室内設備更改費用 ・▲室内リフォーム費用 |
+17万円 | 2005年(12年目) 維持費値上げ後 |
同上 | |
+75万円 | 2014年(21年目) ローン一括返済後 |
同上 | |
+69万円 | 2017年(24年目) ローン一括返済後 |
同上 |
投資中の25年間、年間でキャッシュフローがマイナスに陥る事はなかった。
主に建物の減価償却から生じる、給与収入から源泉課税控除された所得税の還付金額は
その時々の法律状況にも左右されたが、平均して 9万円程度を受け取る事が出来た。
そして住宅ローンは、2013年に借入残高が 500万円弱になった時に諸費用込みの総額
500万円で一括返済した。
マンションの維持費である管理費および修繕積立金は、当初は 6,000円だったが3年後に
6,700円に値上がり、その後も 8,700円 → 12,500円と3段階で上昇している。
これらの結果、最終的なキャッシュフローは 20万円台から10万円台で推移。
住宅ローンの返済完了後は、当然ながらその金額は増えて75万円程度となった。
また2017年以降は賃料を下げたため、69万円に減額となっている。
また礼金や契約更新料の収入、また室内の設備更改やリフォーム費用は考慮していないが
費用が掛かった翌年は税還付金額が多くなり、ある程度は相殺されるイメージである。
3.年間利回り
先程の年間キャッシュフローの結果であるネットキャッシュについて、現に支払った
キャッシュに対する利回りは下表の通りである。
ネットキャッシュ | 利回り | 詳細 / 説明 | |
1994 ~ 2004年 (1 ~ 11年目) |
+24万円 | 5.49% | 24万円 ÷ 437万円 × 100(%) 437万円:購入時頭金+諸費用 |
2005 ~ 2013年 (12 ~ 20年目) |
+17万円 | 3.89% | 17万円 ÷ 437万円 × 100(%) 437万円:購入時頭金+諸費用 |
2014 ~ 2016年 (21 ~ 23年目) |
+75万円 | 8.00% | 75万円 ÷ 937万円 × 100(%) 937万円:同上+ローン一括返済 |
2017 ~ 2019年 (24 ~ 26年目) |
+69万円 | 7.36% | 69万円 ÷ 937万円 × 100(%) 937万円:同上 |
キャッシュとして支払ったのは、購入時の頭金である 370万円と諸費用 67万円、それに
2013年に実行したローン一括返済の 500万円である。
ネットキャッシュには先程と同様、礼金や契約更新料、室内の維持費用は含まれない。
計算結果は、購入当初は5.5%程度、維持費(管理費+修繕積立金)が売却直前の最終金額に
値上げされた11年目からは、3.9%程度である。
またローン一括返済後は 8.0%程度、家賃値下げ後は 7.3%程度となった。
やはり新築から投資したワンルーム、ローン返済後も高い利回りにはならない。
4.投資結果
最後に、物件の購入から売却までの最終的な投資結果について。
(1)購入→売却の結果
物件の単純なキャピタルゲイン・ロスに関する状況は、下表の通りである。
金額 | 詳細 / 説明 | 備考 | |
購入価格 | ▲1,620万円 | ||
購入時諸費用 | ▲67万円 | ||
売却価格 | +864万円 | 諸費用(印紙代)控除後 ※賃借人退去に伴う精算額は含めず |
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合計 | ▲823万円 | ▲49%のキャピタルロス |
新築物件を諸費用込み 1,687万円で購入し、25年後に 864万円での売却である。
一頃に比べて相場が上昇しているとはいえ、ほぼ半額での叩き売りである。
購入時期がバブル崩壊から僅か4年目であり、しかも販売した途端に実質的な市場価値が
大幅にさがる性質の、新築ワンルーム区分物件である。
また今回の売却はより高い値段が期待できる仲介ではなく、不動産業者による買取である。
物件引き渡し完了後の瑕疵担保責任といった煩わしい点も避けたいため、買取を選択した。
不動産業者にして見れば当然第三者への転売が目的であり、価格設定は仕方が無い面もある。
キャピタルゲインは得られず、ほぼ半減というキャピタルロスの結果となった。
勿論、建物の減価償却は考慮しない場合である。
購入時期や物件の性質を踏まえれば、これでもまぁまぁの結果であったと思う。
(2)運用結果
物件を25年間運用した、トータル収支に関する状況である。
①キャッシュアウトの状況
運用期間中に支払った全ての費用は、下表の通りである。
費用金額 | 詳細 / 説明 | 備考 | |
購入費用 | 370万円 | 頭金 | |
購入時諸費用 | 67万円 | ||
ローン返済 (月払) |
1,105万円 | 47,000円 × 12ヶ月 × 19年 47,000円 × 7ヶ月 |
|
ローン返済 (一括払) |
500万円 | 2013年(20年目)に残額を一括返済 | 諸費用込み |
維持費 | 308万円 | 6,000円 × 12ヶ月 × 3年 6,700円 × 12ヶ月 × 3年 8,700円 × 12ヶ月 × 5年 12,500円 × 12ヶ月 × 14年 |
管理費、修繕積立金 |
室内維持 | 84万円 | 購入時 × 1回 エアコン故障交換 × 1回 賃借人退去時 × 4回 |
設備設置・更改 リフォーム |
税金 | 86万円 | 1994年(1年目):43,000円 | 2018年(25年目):29,000円 |
固定資産税 都市計画税 所得税 |
合計 | 2,520万円 |
キャッシュとして支払った全ての費用の合計金額は、2,520万円となった。
これには室内の設備設置や更改、賃借人退去に伴うリフォーム費用も含まれている。
ローンは 1,250万円を借り入れ、利子を含めて 1,105万円を返済。
そしてその時点で、残額 500万円弱を一括返済している。
返済金額は合計で 1,605万円であり、利子として 355万円を支払った計算になる。
355万円 ÷ 1,250万円 × 100% = 28.4%
1,250万円を当初 3%程度から揺るやかに下がる変動金利で毎月返しながら19年間
借りると、借入金額に対して合計で 30%近い利息を取られるのである。
金貸し業は儲かる訳である。
複利効果(この場合は負の効果)を、まざまざと見せ付けられる瞬間である。
②キャッシュインの状況
運用期間中に得た全ての収入は、下表の通りである。
収入金額 | 詳細 / 説明 | 備考 | |
礼金・更新料 | 82万円 | 礼金:140,000円 × 3回 更新料:50,000円 × 8回 |
契約期間:2年 賃借人数:4名 賃借人4人目は礼金廃止 |
賃料 | 2,053万円 | 70,000円 × 12ヶ月 × 22年 70,000円 × 7ヶ月 65,000円 × 12ヶ月 × 2年 |
|
税還付金 | 241万円 | 最大:年間 260,000万円 最小:年間 0万円 |
|
売却価格 | 864万円 | <関連記事> 売却結果記事 |
|
合計 | 3,240万円 |
キャッシュとして受領した全ての収入の合計金額は、3,240万円となった。
これには礼金および契約更新料、また売却による収入も含まれている。
売却分を含まない場合は、2,376万円である。
③最終投資結果
25年間の最終的な投資結果は、下記の通りとなった。
トータルキャッシュイン : +3,240万円
トータルキャッシュアウト : ▲2,520万円
—————————————————————
差し引き : + 720万円
投資期間中の全てのキャッシュの流れと売却によるキャッシュインを合計すると、
最終的に 720万円のプラスとなった。
仮に売却による収入分を除くと、▲144万円となる。
売却直前で賃借人が退去したので仮定の話しとなるが、また同額の 65,000円の賃料で
賃借人が入居した場合、2年3ヶ月程度で ▲144万円が無くなる計算となる。
以上、バブル崩壊から数年後に新築ワンルームに投資し、25年間運用し売却した結果である。
この間それなりに色々とあり結構な手間も掛かったが、結果として差し引き 700万円余りの
キャッシュを生み出せた。
利回り的には大した事はないが、比較的賃借人の出入りが少なかった事や相場より高い賃料
の期間が長かった事で、同様の事例の中では比較的良い結果が残せたのではと思う。
今後は不動産に投資する事は無いが、現実の運用結果として参考になれば幸いである。
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[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00437]
こんにちは。
最終的に800万円超で売却できたことが大きかったんじゃないでしょうか。
あと、バブル崩壊後の新築ワンルームだったようですので、バブル期よりも概ね1000万円ほど安く仕入れているのも一因かもしれませんね。
私の場合、バブル期から崩壊直後(平成2年から平成5年)のワンルーム(エリアは横浜、新築価格はいずれも2300~2600万円)を平成21年に340万円から500万円で3戸ほど買いましたので、キャピタルだけで350~450万円ほど取れましたので、やっぱり区分投資は新築ではなく中古を安く仕入れた方が良い感じです。
ここのところ、大家暦の浅いサラリーマン投資家には融資が出なくなってきてます(始めてのサラリーマン投資家は最初から断れます)から、中古のワンルームも現金買いなら叩いて安く買えますので、そんな投資もいいかもしれないですよね。
スピードは株の方が早いとは思いますが、安定して毎月家賃が入ってくるのは悪くないと思います。
やまさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
2,300~2,600万円の物件が16~19年後に340~500万円、5分の1~7分の1ですね。
しかもそれを売却されて利益も出されているとは、凄いです。
私の場合は、最終的に今後長期を見据えた上で売却という結果になりましたが
中古で上手く物件を仕入れる事が出来れば、堅実な投資かもしれませんね。