4月20日に東証マザーズに新規上場した 4382 HEROZ の初値が、本日4月24日に付いた。
株式市場が大好きな、旬のテーマである “AI” を活用したインターネットサービスの提供を
業務としている企業であり、上場3日目にしてようやく初取引が成立した。
下図は 13:40分現在の株価。
画像出所:YAHOO! JAPAN
初値は何と 49,000円。 公募価格 4,500円の10.89倍である。
(大引け後追記:結局このままストップ安 42,000円で終了)
幸運にも公募に当たり、初値で売却した方はテンバガー超えの利益を得た訳であるが
それでは本日購入した方は、今後どうなるのであろうか。
私は勿論、対岸で見ているだけである。 そんな資金も度胸もモチベーションもない。
同社はこれまでAIを駆使した将棋ソフト「Ponanza」を開発し、プロ棋士と対局してきた。
・2013年:第2回将棋電王戦 佐藤慎一四段
・2014年:第3回将棋電王戦 屋敷伸之九段
・2015年:将棋電王戦FINAL 村山慈明七段
・2016年:第1期電王戦 山崎隆之八段
・2017年:第2期電王戦 佐藤天彦名人
上記対戦に何れも勝ち、AIの可能性を世に知らしめた存在である。
2017年に引退した同ソフトの開発で培ったAI技術を標準化し、「HEROZ Kishin」という
AIビジネスモデルを開発。
顧客企業への同サービス導入時の初期設定費用と、以降の継続課金が収入源となっている。
またBtoC事業として、将棋・チェス・バックギャモン等の頭脳ゲームを展開している。
画像出所:HEROZ株式会社
顧客企業のデータ(金融、建設、人材、エンターテインメント等)をAIにより反復して学習し
予測・分類・最適化等の処理を行い、効率的に活用可能なデータを生成するサービスとなる。
画像出所:HEROZ株式会社
なお企業の業務処理プロセスに深く入り対応する必要があるため、顧客企業とは資本業務提携
する形でこれまで契約を締結している。
このため、一旦導入後は他企業への乗り換えはハードルが高くなる。
現在の提携先は、
・バンダイナムコエンタテインメント
・コーエーテクモゲームス
・ハーツユナイテッドグループ
・竹中工務店
の4社となっている。
足下の業績を確認してみる。
画像出所:HEROZ株式会社
売上高が減っているのが少々気に掛かるが、まだまだこれからの企業であり安定的な成長は
今後の事業展開に掛かっている。
成長のドライバーはやはり BtoB 事業である「HEROZ Kishin」であり、その導入・提携先企業を
これから如何に増やしていけるかに掛かっている。
会社もそれを認識しており、BtoC 事業で安定したキャッシュフローを生み出し、その原資を BtoB
事業に投資していく考えの様である。
画像出所:HEROZ株式会社
さて、明日以降の株価はどの様な推移になるのだろうか。
既存の大株主を確認してみる。
画像出所:96ut.kabu
自社・役員・関係者の他、VC1社、提携・協業先企業が各1社。
そして何と・・・ 藤野英人氏、片山晃氏の名がある。
この現実を見せつけられると、つくづく思う。
やはりお金は、お金のある所に集まるのだ。 これは世の中の常識である。
逆説的には、お金のない所にお金は集まらないのだ。 これも世間の常識だ。
だから、お金の無い一般人の所に美味しい儲け話しは “絶対に” 来ない。
もし来たら、それは120%詐欺である。
私を含めた一般人は、この事実を体で理解するだけであらゆる詐欺の被害者にならずにすむ。
おっと脱線した。 平民の僻み話しはこのくらいにしよう。
さてロックアップ1.5倍などというハナから無条件にいつでも売れる条件(?)で、VCと2人の
大投資家はいつ売るのだろうか。
もう売ったのであろうか? ・・・おそらく流石に一部は売ったのだと思う。
初値の水準を確認してみる。
2018年4月期の会社予想は、下記の通りである。
・売上高 :11.0億円
・営業利益 : 3.2億円
・経常利益 : 3.0億円
・純利益 : 2.2億円 (EPS:73円)
初値である 49,000円で算出すると、
・PER : 670倍
・PBR : 192倍
・PSR : 150倍
何れも説明のつかない、べらぼうな値となっている。
最低投資金額 490万円というのも凄いが、この指標でも買える投資家はリスク許容度が凄いと思う。
私などには金額・指標の両面で、手出し不能である。
明日以降、ここから上昇するのか下落するのか、はたまたこのまま均衡を維持するのか。
私には皆目わからないが、一つ言えるのは本日の株価は実態からは乖離した「夢追い株価」と
いうことである。
当然そこには大きなリスクが存在するが、夢が実を結ぶのであれば大きなチャンスでもある。
これから一体、どう転ぶのであろうか。
6月に予定されている本決算発表までどう動くのか、そしてその「現実」を受けてどうなるのか。
これから夢と現実の狭間で揺れ動く、株価の動向を見守って行こう。
[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~ 記事 No.00228]
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