株式投資のリターン

株式投資が初めての方や、初心者向けの「株式投資の基礎知識」に関する
コンテンツ(4)「株式投資のリターン」となります。

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前回のコンテンツ(3)「株式投資のリスク」では、株式投資によって起こり得るリスク
について掘り下げました。

今回は、株式投資によって得られる「リターン」にはどの様なものがあるのかについて、
考えて行きたいと思います。

  株式投資のリターン分類

はじめに、「株式投資」にはどの様なリターンがあるのかを考えてみます。

先ず、これまでのコンテンツ(1)~(3)の結果を振り返りまとめてみます。

※(1)「株式の本質と役割」、(2)「株式投資の本質」、(3)株式投資のリスク

_株式の本質は、出資した株主がその範囲内で債務責任を負う事と引き替えに、財産的
__価値を有する権利を得ることである。

_株式投資の本質は、会社に資金を長期的に提供して会社のオーナーとなり、経営上の
__重要な意思決定を示し、その結果である利益を受ける権利を有する活動である。

_株式投資には外部環境や業界、投資先企業自体に起因する様々なリスクが存在し、
__ある程度は避けられるものの、これをゼロにするのは不可能である。

_株式投資ではこれらの様々なリスクを長期に亘り乗り越える必要があり、そのために
__経営者と一体となって行動し、株式の価値を高めていく姿勢が求められる。

投資家は株式投資によって、「株主」という会社の実質的なオーナーとなります。

そして「株主総会」という公式な場で自らの議決権を行使して、経営者が正しい方向に
経営の舵を切る様に導きます。

この結果、会社の業務内容やそれを取り巻く環境によってはその経営が上手く回り出し、
次第に成長して稼ぐ力が大きくなって行きます。

企業が成長して売上高を伸ばし、利益が大きくなって来るとどうなるでしょうか。

投資により得られるリターンには、一般的に「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン
があり、これは株式投資も同様です。

先ずは、「インカムゲイン」です。

株式会社は、経営活動の結果として利益を得た場合、その利益の一部を出資者である
株主に現金で分配
します。 これを、「配当」と呼びます。

配当は一定期間の利益の一部を株主に分配するものであり、安定して利益を稼ぎ続ける
会社が分配する配当には、継続的な再現性があります。

したがって、本質的な株式投資である同一企業への長期的な投資の結果として得られる
再現性のあるリターンは、「配当」ということになります。

続いては、「キャピタルゲイン」です。

株式投資における「キャピタルゲイン」に相当するものとしては、出資金と引き替えに
入手した株式を第三者に売却して得られる「株式売却益」となります。

但し、入手した株式を第三者に売却するということはその株式への投資を終了すると
いう事であり、以降はその株式で得られていた「配当」という「インカムゲイン」は
得られなくなります。

今まで投資していた株式を売却するか否かは、その投資に関する一種の出口戦略であり
その実施に当たっては、十分に検討した上で行う必要があります。

当たり前ですが、株式を第三者に売却する際はその条件や価格が重要となります。

売却自体が可能なのかどうか、また売却により「キャピタルゲイン」を得られるのか
はたまた「キャピタルロス」となるのかは、投資成果として大きな分かれ目です。

これらについては、次回のコンテンツ(5)「非上場株式と上場株式」に記載予定です。

  株式における配当原資

次に、インカムゲインである配当の捻出元となる原資について考えてみます。

配当の原資については、会社法により制限されていますので整理してみます。

株式会社は条件が整えば出資した株主に「配当」を分配しますが、その原資はどこから
捻出しても良いという訳ではありません。

会社法では、株式会社が分配する配当は「剰余金」から拠出する事を定めています。

この「剰余金」には、大別して下記の2種類があります。

_「資本剰余金」(資本準備金、その他資本剰余金)
_「利益剰余金」(利益準備金、その他利益剰余金)

したがって、配当は何を原資として分配するかにより、下記の2種類に大別されます。

_資本剰余金の配当
_利益剰余金の配当

①の「資本剰余金」からも配当は可能ですが、これは会社が何らかの理由により資本金
または資本準備金を減らした結果、資本剰余金が計上され、配当の原資としたものです。

これには継続的な再現性はなく、経営上の資本施策の結果に過ぎません。

資本金や資本準備金の大小と会社の成長には直接的な関連性はなく、これを原資とした
配当は資本の払い戻しに該当します。

様々なケースがありますが、一般的には「株主の皆様からこれだけお金を集めて会社を
興しましたが、経営も安定したので少し減らし、お返しします。
」という事です。

コンテンツ(2)「株式投資の本質」において、

_出資した資金は会社の純資産として組込まれ、永久に返済する必要がない。

と記載しましたが、例外としてその一部が返済された事になります。

従って、そう度々は発生せず一過性であり、また投資に対するプラスとしての本当の
リターンではなく、ただ単にその一部が戻って来た
という事に過ぎないのです。

これに対して②は、投資先の企業が成長して利益が出る様になったことで可能となった
訳ですから、文字通り「株式の価値が高まった」ということになります。

したがって、本質的な株式投資である同一企業への長期的な投資の結果として得られる
再現性のあるリターンは、②「利益剰余金の配当」ということになります。

  株式会社の配当施策

次に、株式会社が行う配当の施策がどの様にして決まるのかを考えてみます。

配当の実施に関する有無やその内容は、会社側に委ねられています。

株式会社は活動の結果として利益を得た場合、その利益の一部を出資者である株主に
「配当」として分配しますが、これは法律で義務付けられている訳ではありません。

会社法の該当条文を確認してみます。

_株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、
__剰余金の配当をすることができる。(会社法 第453条)

あくまでも「配当をすることができる」であり、「配当をしなければならない」では
ないことに注意が必要です。

例え利益剰余金があっても、それを配当として株主に分配するかしないか、また分配
する場合の割合をどの程度にするのかは、全て自由に決める事ができます。

但し、会社は配当についての意思を表明することは出来ますが、その決定については
原則として株主総会の決議事項となり、株主の承認が必要です。

なお、中間配当などその一部については株主総会に諮らずとも、予め定款に定める事に
より取締役会で決定することが可能です。

さて、企業活動によって利益が出る様になっても、企業によっては今後に向けて多くの
お金が必要
な場合があります。

成長に必要な投資資金(設備や研究開発、新規雇用、同業他社の買収、海外進出等)や
或いは、借入金の返済や不況時への備え等がこれに該当します。

現実的には、まだ設立してから間もない企業や、設備や研究開発に非常に多額の資金を
必要とする企業
は、その時点の配当はあまり期待が出来ません。

こうした会社では、利益が出ても無配(配当を分配しない)や、利益剰余金に対する
分配の割合である配当性向は、非常に低い
ものとなります。

利益の一部を今直ぐに配当として株主に還元するよりも、今後自らが成長するための
投資に振り向けた方が、結果的に将来の企業価値を高める
という考え方です。

稼いだ利益の蓄積である利益剰余金は、その大半を「内部留保」として社内に留めて
今後の利益の増加に繋がる、成長のための投資に結び付けて行くのです。

この内部留保は、企業がその価値を成長させて行くためのプロセスの根幹を成す
仕組み
であり、それなくして企業の価値は増加しないのです。

設立後間もない企業や、これから大きく羽ばたく時期にある成長企業では、今のお金の
使い方がとても重要となります。

成長投資が成功して大きく業績を伸ばす事が出来れば、その後に長期に亘って大きな
配当が継続的に分配され、十分なリターンを得ることも可能
となるのです。

  株式投資の最終目的

次に、株式投資の最終な目的について会社のライフサイクルを追って考えてみます。

株式投資におけるリターンで、何を重要視するのかを考える上での整理です。

会社を設立する時は、ゼロからの出発となるため一般的には多くの資金が必要です。

そして本来の意味での株式投資とは、起業家に会社設立と当面の運転に必要な資金を
出資し、事業がスタート出来る様にする事
です。

投資した会社が紆余曲折を経てやがて成長の波に乗り、次第に新しい事業を成功させて
新たな人を雇い、売上を伸ばして行きます。

もちろんその間、事業が上手く行かずに業績が停滞する時期もあるでしょう。

しかしそういった場面でも、これまで株主は経営者を陰で支えてひたすら会社が成長
する様に導いてきた
のです。

そして会社は株主への還元策として遂に配当を開始し、年々その金額や利益に対する
割合が少しずつ増えて行きます。

そういう段階になって初めて、株式に出資した投資家としては出資資金の回収フェーズ
に入った
ということになります。

本来の株式投資では、出発時点では出資者が起業家を資金面で支援し、その助けにより
成長しやがて一人前になった会社が、今度は出資者に配当で還元します。

そして投資資金に対する配当金は年々増額され、配当利回りは高くなるばかりです。

いわば、”鶴の恩返し” ですね。

また利益だけでなく、投資した会社が事業や製品・サービス、そして社会活動を通じて
広く社会のためになることで、株主も間接的に世の中の役に立つ事になるのです。

本来の株式投資の目的は、そういった事であると考えています。

その様な利益的には勿論ですが、社会的な意義としても本当に成功した投資先の株式を、
果たしておいそれと簡単に売却しようと思うでしょうか。

つまり本来の株式投資の最終な目的は、投資した株式を売却せずに配当を受領し続ける
と同時に、会社の活動を通して社会のためになり続ける、という事になります。

いうまでもなく株式投資における最終的なリターンの源泉は、会社の永続的な成長を
背景とした、継続的な配当とその成長にあるのです。

  株式投資のリターンのまとめ

最後に、「株式投資」によって得られるリターンと対応スタンスについてまとめます。

_株式投資にもインカムゲインとキャピタルゲインがあるが、何れも投資先の企業が
__ある程度事業に成功し、継続的な利益を生み出すかどうかに係っている。

_インカムゲインに相当する配当は、成長する企業では若い時ほどゼロか極端に少なく
__成長後はその割合が段々と高くなってくる傾向にある。

_最終的なリターンの源泉は、会社の永続的な成長を背景とした継続的な配当とその
__成長にあり、そこに到達するには長期に亘る投資期間が必要である。

_経営者と共に様々なリスクを乗り越えて長期的に企業価値を高める事で、その後の
__配当が安定的に増え続け、結果的に出資資金に対する大きな利回りを生み出す。

株式投資により得られるリターンと、それに向けてどう対応すべきかについて、捉えて
頂けましたでしょうか。

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次は、株式投資をその他の金融資産と比較した場合の優位性について、
コンテンツ(5)「株式投資の優位性」で考えて行きたいと思います。

[成長株への長期投資~経済的自由人を目指して~]

管理人プロフィール

 Author : 圭壱

 Twitter : 圭壱@長期投資

 50代の会社員。

 2013年より日本株を対象とした

 成長株への長期投資を実践。

 投資先企業の活動を通じた社会貢献と同時に、投資

 資本の成長を目指す。 最終目標は経済的自由人。

 詳細は ---> 管理人プロフィール

保有株式の年末評価額 (単年率・累計率)

 2013年12月  1,560 万円でスタート

 ・2013年   1,567 万円 ( +0%

 ・2014年   1,923 万円 ( +23% ・ +23%

 ・2015年   2,297 万円 ( +19% ・ +47%

 ・2016年   2,695 万円 ( +17% ・ +72%

 ・2017年   4,739 万円 ( +76%+203%

 ・2018年   4,180 万円 ( ▲12%+166%

 ・2019年   5,988 万円 ( +43%+283%

 ・2020年   9,634 万円 ( +61%+517%

 ・2021年   6,549 万円 ( ▲32%+319%

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